労働基準法において、深夜時間は、午後10時から翌午前5時までを言います。
この時間帯に従業員に労働させた場合には、深夜割増賃金を支払う必要があります。
ところで、この深夜割増賃金について誤解されている点があります。
本ブログでは、深夜割増の計算方法についてわかりやすく解説していきます。
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通常勤務でも深夜割増が必要な場合があります
「先生、深夜割増って、1.5割増しでいいんですよね?」とある社長様から質問を受けました。
深夜割増賃金の解釈において誤った認識を持たれている方が結構いるようです。
労働基準法において深夜(午後10時から翌朝午前5時)に労働させた場合には、2割5分増以上の割増賃金を支払う必要があります。
しかし、実際には、質問された社長様のように深夜労働の割増率を1.5割増と勘違いされている方がいます。
これは、時間外労働との関連が影響しています。
ご存知のように法定労働時間である1日8時間を超えたら、2割5分増以上の賃金を支払う必要があります。
ところで、多くの会社の始業時刻は、午前中から始まります。
ですから、そのような会社では、午後10時を過ぎても労働している場合には、必然的に時間外労働もしていることとなります。
そのような場合には、時間外労働の割増分と深夜労働の割増分を合計して、1.5割増以上の賃金が必要となります。
しかし、深夜割増賃金は、深夜に働いた事実に対して割増賃金を支払うもので、通常の労働時間においても深夜に労働した場合には、割増賃金を支払う必要があります。
工場の交代制勤務やコンビニ等の夜間アルバイトなど、深夜の時間帯が通常の勤務時間という労働者もいます。
ですから、例えば、工場等で交替制で労働する場合には、時給1,000円の労働者が、午前8時から8時間労働すれば、8,000円の賃金で良いのですが午後10時からが始業時刻で、そこから8時間労働したら、深夜割増賃金を加算する必要があります。
例えば、午後10時が始業時刻で、翌日の午前1時から休憩を1時間取り、午前7時までの8時間労働したとします。
深夜の時間帯に6時間労働していますので、この時間賃金は、深夜割増が付き、1,000円×1.25×6時間=7,500円となり、午前5時から午前7時までは、通常の時給で良いので、1,000円×2時間=2,000円となり、合計で9,500円の賃金が必要となります。
少しおかしな表現ですが、深夜割増を1.5割増と勘違いしている場合は、まだ法律の基準を上回っているのですが、通常の勤務時間が深夜の及んだ場合に、深夜割増を付けないと法律違反となってしまうので、深夜割増については正しくご理解下さい。
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社会保険労務士 松本 容昌
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