従業員を雇用した後に、一定期間の「試用期間」を設けることがあります。
実は、この試用期間については、誤解している経営者の方が多くいます。
そして、それは非常に危険なことなのです。
試用期間について正しく理解することは、労働トラブルを防止する上でも非常に重要となってきます。
本ブログでは、試用期間についてわかりやすく解説していきます。
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「試用期間」は、単なる「お試し期間」ではありません
試用期間中に、能力、技術力や適応性などを判断し、問題がなければ正社員に登用する、このような形で試用期間は利用されています。
では、試用期間の何が問題であるかと言いますと、今、言いましたように、「問題がなければ正社員に登用する」という事は、逆を言えば「問題があれば正社員に登用しない」という事になります。
もう少し言い方を変えますと「問題があれば正社員に登用しなくても良い」と言う事となります。
確かに試用期間中に能力や適応性に問題があれば、正社員に登用しなくても良いのは事実です。
しかし、何を注意しなければならないのか、と言いますと、試用期間だから能力や適応性がないと思えば、どんな場合でも正社員に登用しなくても良い、と思ってしまう事です。
つまり、試用期間内であれば、正社員に登用しないのが、事業主に与えられた当然の権利と思ってしまう事です。
実は、これは誤った認識なのです。
正社員に登用しない場合には相応の合理的理由が必要です
正社員に登用しないと言うことは、従業員を解雇すると同じ事です。
たとえ、試用期間であっても雇用関係は発生しています。
試用期間中は、確かに従業員の能力、技術や適合性などを判断する期間ですが、正社員に登用しない場合には、それなりの合理的な理由が必要となります。
この「合理的な理由」は、多くの事業主の方が考えているより、はるかに厳しいものです。
試用期間というものは、通常の正社員を解雇するよりは、解雇が認められ易いのですが、それ相応の合理的な理由が必要なのです。
つまり、試用期間だからと言って、むやみに正社員に登用しなくても良い訳ではないのです。
この点を認識せずに、安易に正社員に登用しない、つまり解雇してしまうと大きなトラブルに発展してしまいます。
ですから、試用期間というものは、無条件で従業員を正社員に登用しなくても良い期間ではなく、正社員に登用しないならそれ相応の合理的な理由が必要であるという事(その厳しさが、通常の正社員を解雇する場合に比べれば多少緩いだけである)を、是非ご理解いただきたいと思います。
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社会保険労務士 松本 容昌
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