【限定記事】労災事故が発生した時に慌てないための7つのポイント2 ~休業補償給付編~

松本容昌

こんにちは

「聞きやすい」「わかりやすい」「何でも聞ける」

15年の経験と実績に加え迅速な対応と実行力で、
労働トラブルを防止し
労務管理適正化を実現することで
会社の更なる発展に貢献する
経営の安心・安定実現コンサルタント 松本容昌 です。

 

当社ブログ記事の「労災事故が発生した時に慌てないための7つのポイント」は、
本当に多くの方々にお読みいただいております。

ところで、「労災事故が発生した時に慌てないための7つのポイント」では、
事故が発生した後、病院等で治療を受けるところまでを中心に書いてあります。

労災事故が起こり、会社を休むことなく、通院だけで完治すれば、
労災保険の手続きは、様式第5号等を提出すれば、それで終わりとなります。

しかし、甚大な事故の場合には、入院を余儀なくされて、
会社を休業せざる得ない場合も当然、起こり得ます。

そのような場合には、労災保険から休業補償給付が支給される場合があります。

休業補償給付の手続きは、事故が発生してからある程度時間が経過してから行うため、
手続きには時間的な余裕がありますが、
ただ、休業補償給付の手続きには、注意すべきポイントがいくつかあります。

被災した従業員にとっては、休業期間中は、通常は無収入となります。

そのため、休業補償についての進捗状況については、
非常に神経質になります。

ですから、休業補償の全体的な流れや
手続き上注意すべきポイントを押さえておくことは、
とても重要なことなのです。

実際、ブログの読者の方らかも、
休業補償のポイントについてもまとめて欲しい、
というご要望が多数寄せられています。

そのような理由もありまして、今回、メルマガ読者様限定で、
「労災事故が発生した時に慌てないための7つのポイント2
 ~休業補償給付編~」
にて休業補償給付の手続きにおけるポイントを7つにまとめてみましたので、
今後のご参考にしていただければと思います。

なお、最初に1つ、文中に出てくる用語についてお断りしておきたいのですが、
労災保険おける休業補償は、
業務災害の場合には、休業補償給付と言い、
通勤災害の場合には、休業給付と言います。

ですから、本来は、「休業補償給付及び休業給付」「休業(補償)給付」のように
記載すべきなのでしょうが、少し読み辛くなってしまいます。

業務災害の場合も通勤災害の場合も基本的な取扱いは同じですので、
今回は、休業補償給付と書かせていただき、
異なった取扱いをする場合には、その旨を記載するようにいたしましたので、
ご了解下さい。

 

本ページの目次

1.休業補償給付請求の全体の流れ
2.待期期間と請求期間とについて
3.待期期間(請求期間)の初日について
4.待期期間中の休業補償について
5.休業補償給付額と平均賃金について
6.労働者死傷病報告の提出について
7.実務面での注意点
8.まとめ

 

 

1.休業補償給付請求の全体の流れ

 

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労災保険では、労働者は、労災事故により労務不能のために賃金の支払い
を受けない日について休業補償給付を請求することができます。

では、まず、休業補償給付を請求する場合の全体の流れをご説明したいと思います。

 

休業補償給付を請求する場合、使用する請求書は、様式第8号(通勤災害の場合は、
様式第16号の6)となります。

請求書は、初回請求の場合は、全部で4面(表面、裏面、別紙表面、別紙裏面)となります。

 

休業補償給付を請求する場合に、最初に行うべきことは、

労務不能であったことを医師等(医師、歯科医師、柔道整復師等)に証明してもらうことです。

 

医師等による労務不能の証明は、様式第8号(通勤災害の場合は、様式第16号の6)の
下部の「診察担当者の証明」の中の㉛欄「療養のため労働することができなかったと

認められる期間」の記載によってなされます。(表面、下部写真の赤く囲ったところです。)

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つまり、労災保険の休業補償給付の請求では、医師等が発行する診断書は、
特段必要ありません。

 

医師等に様式第8号(通勤災害の場合は、様式第16号の6)に労務不能の
証明をもらう際の注意点ですが、医師等は、いつからいつまで証明すればよいのか

わからないため、医師等に証明してもらう労務不能であった期間を伝える必要があります。
伝える方法は様々なでしょうが、私は、㉛欄に予め証明して欲しい期間を鉛筆で記入

しておきます。(ちなみに、私は、㉙欄の「療養の期間」も診察日数以外は記入しておきます。)

 

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医師等に労務不能の証明を記載してもらった後、他の事項を記載して、事業場を
管轄する労働基準監督署に提出します。

なお、

初回提出時には、賃金台帳及び出勤簿(タイムカード)の写しを添付する必要が
あります。
(この点につきましては、後でご説明します。)

 

請求書を提出する際の注意点ですが、

請求書を提出する先の労働基準監督署は、あくまで労災事故が発生した
事業場を管轄する労働基準監督署となります。

 

つまり、

支社や営業所等で事故が発生した場合には、本社ではなく、支社や営業所等を
管轄する労働基準監督署に提出します。

継続事業の一括を受けている場合も同じです。

 

なお、請求書の提出は、郵送でも可能です。(控えが必要な場合は、控用の
請求書の写しと切手を貼った返信用封筒を同封します。)

 

ちなみに、2回目以降の請求には、別紙は必要なく、本紙の裏面も厚生年金
保険等から当該傷病で障害年金を受給していなければ、再度記載する必要は

ありません。

 

また、本紙の表目の振込口座に関しても前回と変更が無い場合には記入する
必要はありません。

請求書の記入例はこちらをご参照下さい。

>>請求書記入例 (記入例は、様式第8号ですが、様式第16号の6も通勤経路
を記載する以外は基本的には同じ内容となります。)

 

休業補償給付の請求の全体の流れは以上となります。

では、請求書を記入する際の注意すべきポイントについてご説明していきたいと
思います。

 

 

2.待期期間と請求期間とについて

 

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では、休業補償給付の請求期間である、

⑲欄「療養のため労務できなかった期間」についてご説明していきたいと思います。
(写真の赤く囲った場所です。)

 

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休業補償給付を受けるには、次の3つの要件を満たしている必要があります。

①業務上の負傷又は疾病による療養のため労働することができないこと
②賃金の支給を受けられないこと
③待期期間3日間が完成していること

①については特別問題ないかと思います。

②については、法律的に正確にご説明しますと少し複雑になってしまいますので、ここでは
文字通り、給与が支給されない、と解釈されて結構です。

 

注意が必要なのは、

③の待期期間です。

 

 

休業補償給付は、第1日から支給されるのではなく、第4日目からの支給となります。

つまり、待期期間の完成とは、最初の3日間は、休業補償給付は支給されない、
とも解釈できます。

例えば、7月1日から休業を開始した場合、7月4日から休業補償給付が支給される
こととなります。

ところで、労災保険の待期期間は、必ずしも連続している必要はありません。

 

つまり、7月1日、2日と休業し、7月3日は通常通り就労したが、7月4日に再度、
休業すれば、その時点で待期期間は、完成することとなります。

 

ですから、7月5日以降の休業に対して、休業補償給付は、支給されます。

 

少し余談となりますが、健康保険の傷病手当金にも待期期間があります。

傷病手当金の待期期間は、労災保険の休業補償給付のそれとは違い、連続している
必要があります。

 

ですから、先のケースのように、7月1日、2日と休業し、7月3日に就労すると、
傷病手当金の場合、7月4日には待期期間は完成せず、待期期間を完成させるには、

7月4日から連続して労務不能の日が、さらに3日間続く必要があるのです。

 

さて、⑲欄「療養のため労務できなかった期間」に記入についてですが、この
請求期間には、当然、待期期間も含まれますので、請求期間の起算日は、

待期期間の第1日目となります。

 

ところで、「請求期間の長さ」そのものには、特段の決まりはありませんが、あまりに
請求期間が長いと、それだけ被災労働者が、無収入である状態が続いてしまうので、

通常は、1ヶ月単位で請求をすれば良いでしょう。

 

もちろん、前回の請求から1ヶ月経過しないで復帰することも、当然、考えられますので、
そのような場合は、請求期間が1ヶ月以下となっても全く問題ありません。

また、逆に、賃金締切日後、数日で職場復帰が見込まれる場合には、職場復帰までを
まとめて請求しても問題ありません。

 

 

3.待期期間(請求期間)の初日について

 

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ここでは、待期期間の初日について、もう少し詳しくご説明いたします。

休業補償給付の請求業務において、待期期間の初日つまり請求期間の初日は、
非常に重要なポイントとなってきますので、是非、覚えておいていただければ、

と思います。

 

待期期間については、法律では、

所定労働時間中に労災事故により労務不能となった場合には、被災当日を、
待期期間に含めるとされており、

所定労働時間外(残業中)に労災事故により労務不能となった場合には、
その日は、待期期間に含まないとされています。

 

 

ですから、翌日、休業していれば、翌日が、待期期間の初日となります。

しかし、待期期間の初日を考える場合、

上記の規定以に、医師等の証明が重要な関係を持ってきます。

 

先にも書きましたが、休業補償給付は、労務不能である期間について医師等が
証明する必要があります。

 

医師等は、当然ですが、

被災労働者が、診察に来ていない時期から労務不能であった、という証明は出しません。

 

ですから、待期期間の初日、つまり請求期間の初日を記入する際に、先程書きましたように、
労災事故の発生が、所定労働時間中か否かも、もちろん重要ですが、それと同時に

医師等に初めて診察を受けた日(初診日)が非常に重要となってきます。

 

労災事故の発生時期とと初診日との関係ではいくつかのケースが考えられ、ケースごとに、
待期期間(請求期間)の初日が変わってきます。

 

実際に、よく起こり得るケースをいくつか挙げてみましたので、休業補償給付を請求する
場合には以下のどのケース当てはまるのかを、被災労働者から正しく聴取する必要が

あります。わかりやすくするために具体的な日付を入れてご説明したいと思います。

①7月1日の所定労働時間中に被災して、そのまま診察を所定労働時間中に診察を
受け休業を開始した。

②7月1日の所定労働時間中に被災したが、当日は、終業時刻まで勤務し帰宅後、
診察を受け翌日から休業を開始した。

③7月1日の所定労働時間中に被災して、そのまま帰宅して、休業を開始し、
終業時刻の後に診察を受けた。

④7月1日の所定労働時間中に被災したが、当日は、終了時刻まで勤務し、翌日の
7月2日に診察を受け休業を開始した。

⑤7月1日の所定労働時間中に被災して、そのまま帰宅し休業を開始したが、翌日の
7月2日に診察を受けた。

⑥7月1日の残業中に被災して、そのまま診察を受けた。

⑦7月1日の残業中に被災して、そのまま帰宅し、翌日の7月2日に診察を受けた。

⑧7月1日の所定労働時間中に被災したが、その後も勤務を続けたが、7月5日に
診察を受け休業を開始した。

⑨7月1日の所定労働時間中に被災し、そのまま帰宅し休業を開始し、しばらく自宅で
安静にしていたが、7月5日に診察を受けた。

 

 

では、それぞれのケースについてご説明していきたいと思います。

 この場合、所定労働時間中に被災しその後、勤務をしていないため労務不能と
なるため、待期期間の被災日当日を待期期間に含むことができます。

さらに、医師等の証明も7月1日より受けることができるので、7月1日から請求が
できます。

 

 この場合、所定労働時間中に被災しましたが、当日は、終業時刻まで勤務し賃金も
支払われているので、当日は、労務不能とはならないため、翌日の7月2日が、請求の

初日となります。

ここで、「医師等の証明は7月1日から受けられるのでは?」

という疑問が湧くかもしれませんが、そもそも7月1日は、労務不能ではなかったわけ
ですから、医師等に、7月1日が労務不能であったという証明を受けること自体が

間違いとなります。

 

 これは②と状況が似ていますが、決定的に違うのが、被災後、勤務を続けていない
ことです。ですから、当日に、労務不能となっており、医師等の証明も7月1日から受ける

ことができるので、7月1日が、請求日の初日となります。

 

 この場合、所定労働時間中に被災し労務不能となっているため、被災当日を待期期間に
含むことができますが、医師等の証明が7月2日からとなりますので、請求期間の初日は、

7月2日からとなります。

 

 この場合、所定勤務時間中に被災していますが、終業時刻まで勤務しているため、賃金も
発生していて労務不能とはならず、医師等の証明も7月2日からとなりますので、請求期間の

初日は7月2日となります。

 

 この場合、医師等の証明は、7月1日から受けることは可能ですが、残業中の被災は、
その日は、待期期間に含まれないので、7月2日が請求日の初日となります。

 

 ⑤同様、残業中の被災は、その日は、待期期間に含まれず、しかも、医師等の証明も
7月2日からとなりますので、請求期間の初日は7月2日となります。

 

 この場合、所定労働時間中に被災していますが、7月4日まで勤務を続けているため、
労務不能で賃金も受けており、医師等の証明も7月5日からとなりますので、請求期間の

 

初日は、7月5日となります。

 

 

 この場合、所定労働時間中に被災し、そのまま休業に入っていますが、医師等の証明が
7月5日からしか受けれないので、請求期間の証明は7月5日からとなります。

 

基本的なケースは、以上になるかと思います。

つまり、被災日、当日を待期期間に含める、つまり請求期間の初日にすることができるのは、
被災した後、勤務を続けないで、終業時刻後でも良いので、その日のうちに医師等の診察を

受けた場合となります。

 

第1回目の休業補償給付を請求する時の請求期間を記入する際には、以上をご参考に
なさっていただければと思います。

 

 

 

4.待期期間中の休業補償について

 

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休業補償給付を申請する際に、待期期間についてもう1つ注意すべき
ポイントがあります。

それは、待期期間中における休業補償の必要性です。

これまでお話ししてきましたように、休業補償給付は、3日間の待期期間を
完成させる必要があり、休業4日目から、支給されるため、労働者にとっては、

待期期間は、全くの無収入となってしまいます。

 

そのため、法律では、

待期期間中については、使用者(経営者)が、被災労働者に対して休業補償を
することを求めています。

なお、休業補償が必要なのは、業務災害による休業の場合で、通勤災害による休業の
場合には必要ありません。

 

補償すべき額は、1日につき平均賃金日額の6割以上とされています。

今回は、平均賃金についての詳細の説明は、割愛させていただきますが、ここでは、
待期期間について使用者は、一定額以上の補償をしなければいけないことを

ご理解いただければと思います。

 

なお、当ブログでも 平均賃金について書いてありますので、そちらもご参考に
なさって下さい。

>>平均賃金の計算方法について

>>平均賃金の最低保障額とは・・・?

 

 

ところで、待期期間中の休業補償について是非覚えておいていただきたいポイントが
あります。

 

 

そもそも、何故、休業補償が必要かと言うと、労災事故は、業務中に業務に関連して
事故が起きたわけですから、使用者は、当然、労働者の業務中の事故による傷病に

対して、責任を負うています。

 

そのため、労働基準法では、業務中の事故により労働者が傷病を負い、休業した場合には、
一定額以上の休業補償の義務を課しています。

その額が、平均賃金の6割以上となります。

 

しかし、休業が長引けば、使用者の負担が過渡となってしまいますので、労災保険が
代わりに補償する制度ができたのです。

その代わり使用者は、保険料を負担することとなります。

 

ところで、休業補償の本来の意味は、労働者が、本来得ることができた賃金を、
労災事故により得ることができなくなったために、 使用者が一定の補償をする

というものです。

ですから、労働者が、もともと賃金を得ることがない、公休日等については、
休業補償する必要はないこととなります。

 

つまり、待期期間中に公休日等が含まれている場合、その日については、
休業補償する必要はありません。

 

結果的に公休日等も、労務不能であれば、当然、待期期間にカウントされるこ
ととなります。

 

例えば、7月1日より労災事故により休業を開始し、7月3日が公休日であれば、
休業補償の対象となる日は、7月1日と2日だけとなり

ます。

 

さらに、「待期期間(請求期間)の初日について」の例えば、②のケースのように、
被災当日の翌日が待期期間の初日となるケースの場合、待期期間である7月2日から

7月4日までが、丁度、会社の夏季休業等にあたった場合には、結果的に使用者には
休業補償をする必要はないこととなります。

 

では、待期期間中に被災労働者が、有給休暇を取得した場合はどうでしょうか?

ポイント2でも書きましたが、待期期間中は、労務不能で賃金の支払いを受けていないことが
必要です。

となると、有給休暇取得日は、通常の賃金が支払われるので、待期期間の要件に合わない
ように思えます。

 

ただ、行政上の解釈では、有給休暇の取得は、待期期間の完成を妨げないとされていますので、

休業第1日目から第3日目まで有給休暇を取得した場合でも待期期間は完成したこととなります。

その場合は、当然、使用者には休業補償の義務は生じないこととなります。

 

 

 

5.休業補償給付額と平均賃金について

 

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休業補償給付の給付額(休業給付日額)は、平均賃金を用いて計算されます。

 

休業補償給付は、1日当たり、平均賃金の6割が支給されます。

さらに、特別支給金が、平均賃金の2割支給されるので、合計で平均賃金の
8割支給されます。

平均賃金を算出する際の、計算の基となる賃金額を記載するのが、様式第8号
(通勤災害の場合は、様式16号の6)の別紙・表面の平均賃金算定内訳となります。

 

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別紙・表面を記入する際にポイントとなるのが、賃金計算期間です。(A欄、B欄
それぞれにあります。)

 

法律では、平均賃金は、平均賃金を計算すべき事由が発生した日(この場合、
労災事故日となります)以前3か月間に支払われた賃金を基の計算されるのが

基本ですが、賃金の締切日がある場合には、直前の賃金締切日以前3か月間
支払われた賃金を基に計算すれば良いとされています。

 

ですから、事故日が7月1日で、賃金の締切日が20日の場合、6月分、5月分、
4月分の賃金を平均賃金算定内訳に記載することとなります。

 

従って、賃金計算期間には、3月21日~4月20日、4月21日~5月21日、
5月21日~6月20日と記入します。

 

その下の総日数は、暦日数を記入すれば良いので、上記の例で言えば、31日、
30日、31日となります。

 

後は、実際に支給された賃金額を記載していくわけですが、ここで注意しなければ
ならないのは、基本給や各手当等を支給形態によってA又はBへ分けて記入する

必要があります。

 

A欄には、「月・週その他一定の期間によって支払ったもの」

を記入し、

B欄には、「日若しくは時間又は出来高制そのた請負制によって支払ったもの」

を記入するとされています。

 

いくつか例を上げてご説明したいと思います。

基本給が、月給や日給月給のように月単位で支給されている場合は、一定期間に
よって支給されているので、A欄に記入します。

しかし、

同じ基本給でも、時給や日給で支給されている場合は、B欄に記入することとなります。

 

次に手当ですが、家族手当や資格手当等は、通常は、月を単位に支給されるので、
A欄に記入します。

皆勤手当や精勤手当は、1ヶ月間の出勤状況によって支給されるので、A欄と
なります。

それに対して歩合手当は、出来高によって支給されるので、B欄となります。

 

通勤手当は、少し注意が必要です。

もし、通勤手当が、月額○○○円というように定額で支給されていれば、A欄に
記入するのですが、日額単位や通勤のキロを単位に支給されている場合は、

同じ通勤手当でもB欄に記入する必要があります。

 

時間外手当や深夜割増手当は、時間を基に支給されているので、B欄へ
記入することとなります。
ですから、

基本給が、月給や日給月給で支給されていても、時間外手当や深夜割増手当は
B欄へ記入することとなります。

 

あと、B欄には、総日数の他に労働日数を記入するのですが、ここには、各月の
実労働日数を記入します。(なお、半日出勤や3分の1日だけ出勤している日も、

1日とカウントします。)

 

ちなみに、何故、このように賃金を分けて記入するかですが、通常の平均賃金の
算出方法では、平均賃金を計算する期間に、何らかの事情で欠勤等が多かった

場合には、平均賃金が極端に低くなってしまし、結果的に、休業補償給付の額が
低くなってしまいます。

 

それを避けるために、実際に労働した日や、時間等を基に最低保障額の制度
設けられているためです。

 

ですから、通常の平均賃金の計算の他に最低保障平均賃金の計算方法を記入
することとなります。

 

計算は、それぞれの欄の数字を当てはめてながら記入していくと最終的に平均
賃金額が算出されることとなります。

 

あと、事故発生日以前2年間に支給された賞与等がある場合には、

別紙・裏面③「特別給与の額」に各支給年月日及び支給額を記入します。

 

通常は、以上を記入して労働基準監督署に提出します。

その際には、支給額や出勤日数を証明するために、賃金台帳出勤簿の写しを添付します。

 

なお、平均賃金の計算の正誤を確認するだけでしたら、平均賃金の算出対象期間
(上記の例でいえば、3月21日から6月20日)までの賃金台帳と出勤簿の写しが

あれば良いのでしょうが、実際には、事故日までの賃金台帳や出勤簿も求められる
ケースの方が圧倒的に多いですので、事故日を含む月分まで添付すると良いでしょう。

 

さて、長々と書いてきましたが、実際、この平均賃金算定内訳は、慣れないと記入が
非常に難しいと言えます。

さすがに、私のような社会保険労務士が、白紙で持っていけませんが、経営者の方
でしたら、未記入で持っていっても、その場で、監督署官は、丁寧に書き方を教えて

くれます。

 

ですから、無理に自分で書こうとすると、時間ばかりが経ってしまって、休業補償
給付の支給が遅れてしまう結果となってしまいますので、もし、自分での記入が

無理と思ったら白紙でも良いから、労働基準監督署にまずは行ってしまうことを
お勧めします。

 

ただし、監督官も資料等が無ければ、記入の指示ができないので、

必ず必要な期間の賃金台帳や出勤簿の写しを持参して下さい。

 

また、場合によっては、欠勤控除や日割り計算の方法や手当の支給方法等を
聞かれる場合がありますので、ご自分の会社が、どのように欠勤控除を

計算しているのか等を確認して行かれて下さい。

 

 

 

6.労働者死傷病報告の提出について

 

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これまでご説明してきましたように、休業補償給付の手続きの大きな流れな、
様式第8号(通勤災害の場合は、様式第16号の6)に請求期間について

医師等による労務不能の証明をもらい、他の必要な事項を記載して、初回は、
必要な期間の賃金台帳及び出勤簿を添付して労働基準監督署に提出します。

 

ところで、休業補償給付を手続きする際には、もう1つ重要な手続きがあります。

それが、労働者死傷病報告の提出です。

労働者私傷病報告の用紙はこちらとなります。

 

 

労働者私傷病報告は、労働者が、業務中の事故等により、休業が4日以上と
なった場合には、すみやかに労働基準監督署に提出する必要がります。

 

ところで、

この労働者私傷病報告は、

今回、ご説明している、休業補償給付等の労災保険関係書類とは、全くの別物なんです。

 

前回のブログでご説明しましたが、労災事故により病院等で治療を受ける場合には、
様式第5号(通勤災害の場合は、第16号の3)を提出しますが、

この様式第5号(通勤災害の場合は、第16号の3)と労働者死傷病報告とは、全く趣旨
が違うものです。

ですから、休業が4日以上になった場合には、

労働者私傷病報告を速やかに労働基準監督署に提出する必要があります。

 

ちなみに、もし、この労働者私傷病報告を提出しないと、

いわゆる「労災隠し」となり、犯罪行為となってしまうのです。

 

ただし、先程、労働者私傷病報告と労災保険関係書類とは、全くの別物と
書きましたが、実務的には、初回の請求時に様式第8号(通勤災害の場合は、

第16号の6)に労働者私傷病報告の提出年月日を記入することとなっています。
(写真の赤く囲った場所です。)

 

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ですから、結果的に、

労働者私傷病報告を提出しないと休業補償給付の請求はできないこととなります。

 

ところで、労働者私傷病報告は、業務中の事故等による休業の場合にのみ提出する
必要があるので、

通勤災害による休業の場合には、提出する必要はありません。

 

最後に実務面での注意点をお話したいと思います。

実際、労災事故が起こった場合には、速やかに様式第5号等を病院等へ提出する
必要があります。

 

しかし、今回、ご説明している休業補償給付の請求書を提出する時期は、通常は
事故後、1ヶ月以上経過しています。

 

ところで、

労働者私傷病報告は、災害発生後「遅滞なく」提出することが定められています。

「遅滞なく」とは、通常は、1週間から2週間以内と解されています。

 

ですから、様式第5号等を提出して、暫くして労働者私傷病報告を提出する
こととなります。

しかし、この労働者私傷病報告の提出を忘れてしまう、経営者の方が、
多くいます。

もちろん、2週間以上経過してしまっても提出することは可能です。

 

しかし、事故発生後1ヶ月以上経過(管轄の労働基準監督署によっても
違うようですが)してしまうと、

遅延理由書の提出を求められる場合があります。

 

ですから、休業補償給付を請求する際には、労働者私傷病報告の提出が
必要となることを必ず覚えておいていただければと思います。

 

 

 

7.実務面での注意点

 

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では、最後に休業補償給付の手続きを行う時の実務面での注意点をいくつか
ご説明したいと思います。

 

まず、労働者の無収入となる期間についてです。

これまでご説明してきましたように、休業補償給付は、労務不能により賃金を
受けていない日に対して支給されます。

ですから、被災労働者が、休業補償給付を請求するということは、労働していない
わけですから、当然、賃金は支給されません。

となると、

労災保険から休業補償給付が支給されるまで、被災労働者は、無収入となります。

 

通常に労働していたら、賃金は、賃金締切日から少なくとも1ヶ月以内には
支給されます。

 

しかし、休業補償給付の場合、賃金締切日以降に医師等の証明をもらい、その後、
労働基準監督署に提出します。

 

労働基準監督署では、提出された時点から審査に入ります。

特に初回は、平均賃金の算出やカルテ等の確認後、に給付が行われるため、
通常は、請求書提出後、1ヶ月程度かかってしまいます。

 

ただし、書類等に不備があれば、当然、給付の決定まで、さらに時間を要して
しまいますし、もう1つ注意しなければならないのは、医師等の証明です。

 

これまでご説明してきましたように、休業補償給付の請求には、医師等の証明が
必要です。

 

つまり、

請求書に医師等の証明をもらえない限り、休業補償給付の提出はできないこととなります。

 

もし、医師等の証明をもらうのに時間がかかってしまえば、結果として、
休業補償給付の請求が遅くなってしまいます。

個人病院なら、比較的に早く証明をもらえることが多いのですが、総合病院等の
場合、医師等が証明を書いてくれるのに時間がかかってしまう場合があります。

 

もちろん、全ての総合病院等がそうではないのですが、実際に私が経験した
例ですが、労災事故で負傷した労働者が、総合病院で診察を受けたのですが、

たまたま、診察を受けた医師が、非常勤医師で、1週間に1回しか診察に
来なかったため、医師等の証明をもらうまでに1ヶ月半も要してしまいました。

 

ですから、この労働者の方は、結果的に、休業補償給付が支給されるまで、
3ヶ月程かかってしまいました。

つまり、3ヶ月間無収入となってしまいました。

 

このように休業補償給付を請求する場合、時としてこのようなことが起こって
しまう可能性があります。

 

もちろん、経営者が何らかの便宜を図る法律的な義務はありませんが、ただ、
場合によっては、労働者が、長期間無収入状態に陥ってしまう可能性がある、

ということは認識していただき、無収入状態があまりに長期間に及ぶ場合には、
貸付等を考慮した方が良いかと言えます。

 

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次に請求期間中に病院等を変更するケースについてです。

 

通院の利便性の理由等で、休業中に病院等を変更する場合があります。
(病院等を変更する場合は、変更先の病院等へ様式第6号(通勤災害の場合は、

様式第16号の4)を提出します。)

 

このような場合は、それぞれの病院等で労務不能の証明を受けることとなります。

例えば、8月1日より8月31日の1ヶ月間を休業し、休業補償給付を請求する場合に、
8月15日に病院を変更する場合は、8月1日から8月14日までを転院前の病院等、

8月15日から8月31日までを転院後の病院等から労務不能の証明を受けることと
なります。

つまり、請求書を2枚使用しそれぞれの期間を請求することとなります。

 

ここで注意が必要なのは、通常は、病院等は、初診日以前及び最終診察日より後の
期間については労務不能の証明を出せません。

ですから、8月14日に転院前の病院等で診察を受けて、8月15日に転院後の病院等で
診察を受ければ空白が無いので問題無いのですが、転院前の病院等での最終診察日と

転院後の病院等の初診日と間に空白期間ができる場合があります。

 

例えば、転院前の病院等の最終診察日が8月14日で転院後の病院等での
初診日が8月17日であれば、転院前の病院等での証明の期間は、8月1日

から8月14日となり、転院後の病院等の証明は、8月17日以降となり、2日間の
空白が生じてしまいます。

このような場合には、空白の2日間は、どちらかの請求期間に含めて書きます。

仮に、転院前の医師等による証明が記載されている、請求書に空白の2日間を
含める場合には、医師等の証明の期間は、8月1日から8月14日となりますが、

請求期間は、8月1日から8月16日までと記載します。

 

ところで、空白期間が2、3日であれば、土日曜日を挟む場合や予約の都合も
あるので、その期間も医師等の証明がなくても、さほど、問題は生じないと言えます。

しかし、実際には様々な事情で、転院前の病院等の最終診察日と転院後の病院等の
初診日との間が2、3日以上空いてしまう場合もあります。

 

 

このような場合には、とりあえず請求書を提出して、その後、その期間の状況を記した
書面の提出を求められたり、直接状況を聞かれたりする場合があります。

ただ、何日以上空白が空いたら、調査の対象となるかは、一概に決まっていないので、
請求書の提出後、労働基準監督署から何らかの指示があった場合には、それに従う

ようにして下さい。(なお、私が確認した労働基準監督署では、とりあえず、請求書を
出してくれればいい、言われましたが、労尾づ基準監督署によっては。最初から状況を

記載した書面等の添付を求められるかもしれません。)

 

また、請求期間に同時に複数の病院で治療等を受ける場合があります。このような
場合は、複数の病院等からそれぞれ労務不能の証明を受ける必要はなく、

請求期間に主な治療を受けている病院等から証明を受ければ良いこととなります。

 

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最後に休業から職場復帰後に再度休業した場合についてはお話したいと思います。

休業から復帰後、様々な理由で再度休業を余議なくされる場合があります。

ところで、労災保険では、労災事故により労務不能になり賃金が支給されない場合に、
休業補償給付は支給されるので、職場復帰後の休業であっても要件を満たしていれば、

当然に、休業補償給付は支給されます。

 

ただ、ケースによっては、追加書類等の提出や事情聴取が行われる場合があります。

例えば、復帰後、固定ボルトの摘出等で再度手術し、休業する場合などは、カルテ等から
状況もはっきりわかりますので、その旨、請求書に書いておけば、問題は無いでしょう。

 

ただ、復帰したものの、思った程回復していないので、再度休業する場合もあります。

このような場合、復帰期間がさほど長く無ければ、復帰してから再度休業するまでの
状況等を請求書に記載すれば、さほど問題はないのですが、復帰から再休業までの

期間が長いと、その間に別の休業要因があるのでは疑われる可能性があります。

このような場合には、先程書きました、追加書類の提出や直接労働者への~等が
行われる場合があります。

ただ、傷病の種類や従事している業務等によって判断が異なってきますので、復帰後、
再休業する場合には、予め労働基準監督署にご相談すると良いかと思います。

 

いずれにしても、労働者から復帰後、再度休業補償給付の請求があった場合には、
上記のような事が起こり得ることを予め了承しておいてもらうと良いでしょう。

 

また、復帰後、リハビリ通院等で、週のうち何日か休業する場合も考えられます。

例えば、8月1日から8月31日までのうち、リハビリ通院で8日間休業したとします。

この場合、医師等の証明は、8月1日から8月31日までの期間を証明してもらいます。

ただし、請求期間に8月1日から8月31日までの31日間のうち8日間休業、という形で
請求書に記載します。

そして、賃金台帳、出勤簿の写しを添付します。

 

 

 

8.まとめ

 

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さて、いかがでしたでしょうか?

今回は、

「労災事故が発生した時に慌てないための7つのポイント2 ~休業補償給付編~」

として休業補償給付を請求する際の全体的な流れや実際に請求書を作成する際の注
意点や知っとくべき知識等を7つのポイントにまとめてみました。

 

もちろん、今回のブログで全てをお話しできたわけではありませんし、説明自体も
書き足りない部分も多々あるかと思います。

 

ただ、休業補償給付の手続きは、一刻を争うものではなく、ある程度、時間的な
余裕もあります。

ですから、今回は、全体像をイメージしていただくことができれば十分かと思います。

 

全体的なイメージを掴んでいれば、個々のケースで疑問が生じたら、その都度、
労働基準監督署に確認していただければ良いかと思います。

 

文中にも書きましたが、休業中の被災労働者は、無収入の状態となります。

そして、休業補償給付の請求は、通常は会社が行います。ですから、労働者は、会社が
休業補償給付の請求に手間取ってしまうと、非常な不安に陥ってしまいます。

 

ですから、休業補償給付の手続きをスムーズに行うことは、経営者や総務担当者に
とっては重要な業務かと思います。

本ブログが、その一助となれば幸いと思います。

 

なお、今回お話しした内容は、私自身の経験に負うところも多々あります。

もちろん、それ自体が間違っていることはないのですが、労働基準監督署によっては
取扱いの方法が違う場合があります。ですから、本ブログのお読みのあなた様が、

実際に休業補償給付の手続きを行った際に、今回のブログの内容とは多少異なった
取扱いを方を言われる場合もあるかもしれませんので、その点はご了承いただければと

思います。

最後に用紙の入手先についてですが、労災保険の給付の関する用紙は、
労働基準監督署でも入手できますが、インターネットからでもドウンロード

できますので、ご利用いただければと思います。

>>労災保険給付関係請求書等ダウンロード

 

本日もお読みいただきましてありがとうございます。
社会保険労務士 松本 容昌

 

 

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