何故、解雇が安易に行われてしまうのか・・?

何年か前に、アルバイト社員を大量に解雇した企業が、不当解雇で訴えられた、事件が報道されました。

実際、不当解雇は、労働トラブルの原因でも最も多いのが実情です。

そこには、安易に解雇が行われてしまう実情があります。

では、何故、安易に解雇が行われてしまうのでしょうか?

本ブログでは、安易に解雇が行われてしまう、理由についてお話していきたいと思います。
 
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訴えを起こされて初めてトラブルになります


パートタイマー、アルバイトについても労働基準法上は正社員と変わらない、労働者として正社員と同等に扱われるため、たとえパートタイマー、アルバイトであっても解雇する場合には、正社員同様慎重な対応が必要です。

もちろん、これは正しい事なのですが、実際には、パートタイマー、アルバイトの方々が安易に解雇されているのも現実です。
 
では、どうしてこのような事が起きるのでしょう?

様々な理由が考えられますが、私は一番の理由は、あまり好ましい書き方ではないのかもしれませんが、労働者側の法律知識の欠如にあると思います。

つまり、労働者側も「自分はパートだから」「私はバイトだから」といった感覚でいる場合が多いのではないかと思います。
 
労働トラブルは、基本的には労働者が訴えを起こして初めてトラブルとなります。

解雇で言えば、解雇された労働者が、「これは不当解雇である」と訴えを起こして、初めてトラブルになるのです。

逆に言えば、どんな不当解雇と思われる解雇であっても、労働者が不当解雇の訴えを起こさなければ、それはトラブルにはならないのです。
 
 
つまり、仮に不当解雇されたとしても、労働者自身が「不当解雇である」という認識が無い場合や「自分はパートだから仕方がない」っという誤った解釈を持っている限りトラブルは発生しないのです。

事業主が、「パートだから簡単に解雇できる」といった誤った解釈をしても、それが間違っている、という認識が労働者側にも無いために、結果的にパートタイマー、アルバイトが安易に解雇されている現実があると言えます。
 
さらに、もう一つ理由を挙げれば、労働者が「この解雇は不当ではないのか?」と思っても、実際に訴えを起こす行動を取らず、結果的にトラブルが発生しない場合も考えられます。

トラブルが起きなかったのは、たまたま運が良かっただけです


ただ、是非ご理解いただきたいのは、上記の理由でパートタイマー、アルバイトが解雇されたとして、トラブルが発生しなかったとしても、それは、あくまで「たまたま運が良かった」に過ぎない、という事です。

誤った法律知識で行った解雇が、たまたま運良くトラブルへ発展しなかったために、「誤った法律知識が、さも正しい」かのように勘違いしている事業主の方が非常に多いのです。

実は、これは非常に危険な事なのです。
 
 
なぜなら、間違った法律知識に基づいて行った行為が、正しいと勘違いしているのであれば、今後同じような行為を繰返す事となります。

今後、同じように「たまたま運が良かった」が続く保証は何処にもないのです。

いつか大きなトラブルに遭遇する可能性が常に存在するのです。

しかも、「自分が間違っている」といった認識が無いため、トラブルに対して全く対策を講じていないので、一旦トラブルが起こってしまうと、事業主にとって非常に厳しい結果となってしまう可能性が非常に高いと言えます。
 
 
また、昨今のインターネット等の普及により、従業員は、法律知識に関し容易に接する事ができるようになりました。

ですから、従来では労働者側の法律知識に対する欠如等により、トラブルにならなった事でも、現在では、トラブルへ発展するケースが非常に多くなってきています。

ちなみに、全国個別労働紛争の相談件数は、平成13年では21万件だったのに対し、平成24年は107万件と約5倍以上と急増しています。

事業主と労働者との関係は明らかに従前とは違ってきています。

これまで当然と思われていた事(もちろん、それが正しかったわけではありませんが)が、当然ではなくなってくると言えます。

ですから、今後は正しく法律知識を理解することが非常に重要で、経営においても
重要な問題となってくると言えます。
 
 
私は、事業主の方が当たり前と思っている事でも、「必ずしも法律上正しくない」という事を事業主の方に機会あるごとにお話しています。

何故なら、事業主の方が誤った法律解釈をしている事が、非常に危険である事を実際に起こった数々のトラブルを通じて身を持って経験しているからです。

誤った法律解釈が元で起こり得るトラブルは解雇だけではありません。

有給休暇、割増賃金しかりです。

ですから、今日お話したことは、非常に重要な事なのです。

是非、今後のご参考になさっていただければと思います。
 
 
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社会保険労務士 松本 容昌
 
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