Q146.再婚相手の子供を扶養に入れたいのですが・・・?

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【質問】
 
当社の男性従業員が、この度結婚することとなりました。お相手の方が、再婚でお子さんがいるようで、奥さんとそのお子さんを自分の健康保険の扶養家族に入れたい、と申し出があったのですが、可能なのでしょうか?
 
【回答】
 
結婚相手の方とそのお子さんも健康保険の扶養認定の可能は範囲(3親等)に入っておりますので、健康保険の認定の条件を満たしていれば、扶養に入れることは可能です。ただし、お子さんを扶養に入れるには、本人と養子縁組をしていない場合には、従業員の方と同居している必要があります。
 
【解説】
 

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健康保険では、加入者(正式には被保険者と言います。この場合は、従業員本人となります。)の配偶者や子供等3親等内の親族で一定の条件を満たしている場合には、扶養家族(被扶養者)となることができます。

扶養家族と認定されれば、保険料支払うことなく、健康保険の適用を受けて治療等を受けることができます。

健康保険の扶養家族になれるのは、加入者本人からみて75歳未満の3親等内の親族及び内縁関係の妻及びその父母となります。(ちなみに、75歳以上の方は、後期高齢者保険制度の加入者となるため、扶養家族とになれません。)

3親等内の親族図はこちらをご参照下さい。

>>被扶養者の範囲図(全国健康保険協会)

ただし、3親等内の親族等が無条件に扶養家族となれるわけではなく、加入者本人との生計維持及び同居の有無、扶養に入る人の年収によって判断されます。
 
 
 
最初に生計維持と同居条件についてご説明したいと思います。

健康保険の扶養家族となるには、加入者本人によって生計が維持されていることが条件となります。

被扶養者となる人に収入があっても、一定額以下であれば、生計が維持されているとみなされます。

健康保険の扶養家族となるには、3親等内の親族等であって、加入者によって生計を維持されていることが前提となります。

ですから、これに該当しない場合には、健康保険の扶養家族となることができません。
 
 
ちなみに、今回のご質問で言えば、再婚相手もその子供も加入者からみて、3親等内の親族となりますので、加入者によって生計維持されていれば、扶養家族となる前提の基準を満たしています。

なお、再婚相手の子は、先程の親族図では、配偶者(再婚相手)の下の子となります。(白抜きの四角の方の子です。本人と配偶者との間の緑抜きの楕円形の子ではありません。)
 
 
次に同居条件ですが、本人の配偶者、子、孫、父母などの直系尊属は、加入者本人と同居していなくても、生計維持されていれば、扶養家族となれます。

例えば、子供が大学生で加入者本人と別居していて、加入者本人の仕送りで生活している場合などが考えられます。

先程の親族図では、緑抜きの惰円形となっている親族が該当します。(ただし、加入者本人の兄弟姉妹については、兄姉だけとなります。)

それ以外の親族は、加入者本人によって生計維持されているだけでなく、加入者本人と同居してることが必要なります。
 
 
ですから、加入者本人が、配偶者の両親と同居していれば、その両親を扶養家族にすることは可能ですが、加入者本人と別居していて、加入者本人が、毎月、配偶者の両親に仕送りしていても、加入者の扶養家族にはなれません。
 
 
では、それでは、今回のご質問のケースを考えてみたいと思います。
 

男性従業員と結婚相手の女性の方は、婚姻関係を結べば、当然、法律上配偶者となるので、夫である男性従業員に生計維持されていて、後述する年収条件を満たしていれば、夫の健康保険の扶養に入ることができます。

この場合、同居の有無は、問いません。

ちなみに、同居していれば、原則、生計維持関係があるとみなされるので、生計維持の関係を証明する書類は不要ですが、何らかの理由で別居している場合には、夫が、妻に仕送りをしていることを証明する書類又は申立書が必要となります。
 
 


次に再婚相手の子供についてご説明したいと思います。

子供の場合、男性従業員と子供の母親が、結婚して2人が夫婦となっても、それだけでは、子供は、男性従業員の子供にはなりません。

繰返しになりますが、被扶養者の範囲図では、配偶者の下の白抜きの四角の子に該当します。
 
 
先程、ご説明しましたように、3親等内の親族等で白抜きの四角の親族が、扶養になる場合には、加入者本人による生計維持だけでなく、加入者本人と同居している必要があります。

ですから、再婚相手の子供が、大学生等で一人暮らしをしていて、加入者本人と同居していない場合には、健康保険の扶養家族にはなれないこととなります。
 
 
では、次に再婚相手の子供を扶養に入れる場合の手続き等についてご説明したいと思います。
 

まず、初めに再婚相手の子供と養子縁組をしていない場合の、健康保険の扶養認定を行う手続きについてご説明したいと思います。
 
今回のご質問で言えば、男性従業員の再婚相手の子供が、男性従業員の健康保険の扶養家族となるには、自分の母親(再婚相手)と男性従業員が、婚姻関係を結んでいる必要があります。

その上で、再婚相手の子供が、男性従業員と同居している必要があります。

ですから、これらを証明できる書類を用意する必要があります。
 
 
ところで、実は、もう1つ証明しなければならない事項があります。

それは、再婚相手とその子供との続柄です。

つまり、子供が、再婚相手の子供であることを証明する必要があるのです。
 
 
提出する書類は、必要な事項を証明できる住民票や戸籍謄本等の公の書類であればどのようなものでも可とされています。
 
 
ところで、実際の手続きにおいては、住民票一枚で事が足りる場合もあれば、住民票と戸籍謄本等を何通も取らなければならないケースなど様々です。

例えば、再婚相手とその子供と3人で暮らしている場合には、住民票一枚で事が足りる場合が多いと言えます。

一枚の住民票に記載されている者は、当然、同居していることとなります。

そして、続柄は、通常、世帯主からみた続柄が記載されます。
 
 
例えば、今回のご質問の男性従業員が、再婚相手とその子供の3人で暮らしていて、男性従業員が、世帯主であれば、再婚相手の続柄は、「妻」となります。

そして、その子供は、「妻の子」という記載であれば、先程、ご説明した必要な事項を全て住民票一枚で証明できます。
 
 
しかし、もし、男性従業員に同居している自分の父親がいて、その父親が、世帯主となっている場合には、住民票だけでは不十分な場合があります。

再婚相手は、世帯主(男性従業員の父親)からみて、「子の妻」となります。
 
 
そして、再婚相手の子供は、世帯主からみて、「子の妻の子」となりますので、このように記載されていれば、住民票一枚で全てが証明できます。

しかし、再婚相手の子供の続柄が、例えば、「同居人」と記載されていれば、再婚相手とその子供との親子関係が証明できません。

このような場合には、戸籍謄本等の再婚相手とその子供との親子関係を証明できる証明も必要なってきます。
 
 
さらに、再婚相手が、「同居人」と記載されていれば、男性従業員と再婚相手との婚姻関係を証明する書類も必要となってきます。

なお、実際の実務においては、上記以外にも、様々なケースが考えられますので、ケース毎に対応していくこととなります。
 
 
 
次に再婚相手の子供が男性従業員と養子縁組をした場合についてご説明したいと思います。

養子縁組をすれば、法律上男性従業員の子供となるため、先程の被扶養者の範囲図においては、本人と配偶者との間の緑色抜きの惰円形の子の位置となります。

この場合は、実子の場合と同じ取扱いとなります。

また、別居している場合も、生計維持関係があれば扶養家族となることができます。
 
 
では、次に年収条件についてお話したいと思います。
 

健康保険の扶養家族になるため扶養家族の年収が、次の2つの条件を満たしている必要があります。

① 
年収が、130万円(60歳以上又は障害年金受給者は、180万円)未満


加入者本人と同居している場合には、加入者の年収の2分の1以下
加入者本人と別居している場合には、仕送り等の金額以下

例えば、扶養家族の年収が、120万円の場合、130万円未満ですが、加入者本人の年収が、200万円の場合、加入者本人の年収の2分の1を上回っているので、扶養家族とはなれません。

また、上記の例で、加入者本人と別居している場合には、加入者からの仕送り等が、120万円以上であることが必要です。
 
 
ところで、今回のご質問のケースのように、再婚相手の子供を扶養家族にする場合に、年収条件について1つ注意すべき点があります。

再婚相手の子供を健康保険の扶養家族にする場合、子供自身には、就職前で収入が無いケースが、ほんとんでですが、元の親から養育費をもらっている場合があります。

この場合、養育費は、子供の収入とみなされるため、養育費の年収が、130万円を超えてしまうと、加入者本人の扶養家族になることはできなくなります。
 
今回のご質問のように、再婚相手の子供を扶養に入れる場合には、健康保険法以外の法律も関与してきて、様々な書類が必要となる場合もあります。
 
 
また、再婚相手が外国籍の場合には、住民票や戸籍謄本以外の書類が必要な場合があります。

いずれにしても、手続きに時間を要してしまう場合も考えられ、その場合には、保険証が無い続いてしまうので、余裕を持って早目に手続きを始めることが重要と言えます。

なお、今回の説明では、法律的に正しい用語を使っていない個所が何ヶ所かありますが(例えば、加入者は、正しくは被保険者です。)、内容をわかりやすくするためのものですので、その点につきましては、ご了承下さい。
 
 
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社会保険労務士 松本 容昌
 


 

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