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【質問】
「今回、当社ではアルバイトを初めて雇用することとなったのですが、そもそもアルバイトとパートタイマに違いは、どのような点なのでしょうか?」
【回答】
「通常、パートタイマーとアルバイトは、労働時間や労働日数、業務内容等によって区分されますが、元々、法律には明確な定めがありません。」
【解説】
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会社では、社員を区分する場合、「正社員」「パートタイマー」「アルバイト社員」「準社員」「フルタイム」といった使い方をします。
しかし、労働基準法では、こういった呼称は使われず、どんな呼び方の社員であっても、全て「労働者」とされます。
つまり、たとえ1週間に1時間しか労働しない社員であっても、法律上は、いわゆる「正社員」と同じ権利を有することとなります。
ですから、割増賃金の計算方法や有給休暇についても法律定められた正社員と同じ扱いをする必要があります。(ただし、有給休暇については労働時間と勤務日数に応じて、比例付与といって、正社員に比べて少ない日数を付与する形となります。ただし、有給休暇が無い、という事は絶対にありません)
ただ、実際には様々な労働形態により社員を区分する必要があります。
先程、どんな労働形態の従業員であっても、法律上は全て「労働者」と取扱われ、法律上は同等の権利を有すると書きました。
しかし、法律で定められていない事項、例えば、賞与、昇給、退職金等については、社員によって賞与や退職金を支払う支払わない、昇給をするしない、といった異なった取り扱いをすることは可能となります。
逆に様々な労働形態の社員を有する会社では、その辺りをしっかりと定めておかないとトラブルの原因となります。
労働形態によって労働条件等に差をつけるとなると、社員の区分を明確にする必要があります。
では、従業員を労働形態によって区分するにはどうような点を基に区分したら良いのでしょうか?
ところで、繰り返しになりますが、元々法律上は労働者は区分されていません。
それを、敢えて区分すると言うことは、あくまで会社内でのみの適用となります。
会社内のみ適用となると、どのような条件で区分するかは、法的に反しなければ、基本的には、使用者の裁量、つまり自由に決めることができます。
例えば、男性、女性で社員を区別し労働条件に差を付ける事は、男女雇用機会均等法に反する事となります。
一般的には、労働者を区分する場合は雇用期間と労働時間によって区分されます。
さらに、これに従事する業務内容も加味される場合もあります。
しかし、これらの基準で従業員を区分すると、いくつかの区分ができますが、実際には少し複雑となってしまいます。
従って、社員を区分する時には雇用期間と労働時間によって区分するのが一般的です。
1日の労働時間が8時間の企業で、1日労働時間が8時間で雇用期間に定めがない従業員がいわゆる正社員とされます。
社員を区分する時には、この正社員を基準に考えていくとわかりやすいと思います。
ところで、社員を区分する際の名称ですが、元々労働基準法では一律に労働者として取扱われるため、区分する際に使用する名称は法律に定めがありません。
つまり、どのような名称を用いても自由なのですが、それはあくまで企業内での適用に限られる事となります。
従って、同じ「パートタイマー」という名称も企業によっては、労働形態の内容が違ってくる事も考えられます。
ですから、今回使用する名称は、あくまで一般的なものである事をご了承下さい。
では、正社員を基準に区分を考えてみたいと思います・・・。
正社員に対して、正社員と同じ労働時間を働くけど、雇用期間の定めがある従業員が考えられます。
このような従業員を「期間従業員」あるいは「フルタイマー」等といった名称で区分されます。
逆に、労働時間は正社員より短いけど、雇用期間の定めがない従業員も考えられます。
このような従業員を「短時間正社員」と呼ばれます。
少し余談になりますが、この「短時間正社員」という概念は新しいもので、労働の多様化の中で最近出てきたものです。
これまでは、労働時間が正社員より短い社員に関しては、業務内容が正社員の補助的なものであると考えられていたため、雇用期間に定めを設けるケースが殆どでした。
しかし、出産後業務に復帰する女性労働者増加に伴い、この「短時間正社員」という考え方が出てきました。
出産後復帰する女性社員の場合、どうしても正社員と同じ時間だけ働く事が困難なケースが多々考えられます。
これまでは、復帰をあきらめて退社してしまう、あるいは後でお話する「パートタイマー」等として勤務するケースが殆どでした。
しかし、社員の側からすれば雇用が不安的になり、またせっかくこれまで培ってきた能力や技術等を生かすことができなくなってしまいます。
逆に企業サイドとしても代替要因の確保の問題や優良な従業員の流失、といった問題も起こってきます。
ですから、時間は正社員より短いけど、雇用期間は正社員同様定めがなく、業務内容も基本的に正社員と同じである、といった「短時間正社員」といった労働形態が生まれてきました。
この「短時間正社員」は、労働形態の多様化に伴い今後益々注目されていくかと思います。
最後に雇用期間の定めがあり、しかも労働時間が正社員より短い区分が残ります。
一般的にこの区分を「パートタイマー」や「アルバイト」と言います。
では、「パートタイマー」と「アルバイト」の違いは何でしょう?
実は、「パートタイマー」と「アルバイト」との区分は曖昧なのです。
例えば、「アルバイト」の方が「パートタイマー」より労働時間が短い。
あるいは、雇用期間が「パートタイマー」より短い。
業務内容が「パートタイマー」より補助的である。
「パートタイマー」は主婦。「アルバイト」は学生。
といったところで使い分けているのではないでしょうか。
いずれにしても、社員を雇用期間の定めがあり、労働時間が正社員より短い、という要因で区分すれば、「パートタイマー」と「アルバイト」は同列となると言えます。
以上を整理し、雇用期間の定めの有無と労働時間の長短で従業員を区分すると、
・正社員:雇用期間の定め無し
・短時間正社員:雇用期間の定め無し。労働時間は正社員より短い。
・期間社員・フルタイマー:雇用期間の定め有り。労働時間は正社員と同じ
・パートタイマー・アルバイト:雇用期間の定め有り。労働時間は正社員より短い
といった具合になるかと思います。
ところで、これまでもお話してきましたように、労働基準法ではこのような区分は一切なく、すべて労働者として取扱われます。
ですから、すべての労働者は、法律に定められて権利を有する事となります。
この点は、繰返し書いてきましたが、今一度ご確認いただければと思います。
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社会保険労務士 松本 容昌
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