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【質問】
「『日給月給』という言葉を聞くのですが、いわゆる『月給』と何が違うのでしょうか?当社では、雇用契約を結ぶ際に、基本給を月額で支給する従業員に対して、特別『月給』か『日給月給』かの区別をしていないのですが、何か問題がありますでしょうか?また、『日給』との違いも教えて下さい。」
【回答】
「『日給月給』は、給料の金額を月を単位にして決め、欠勤があった場合には控除され、また月の途中で入退社があった場合には、日割り計算されます。それに対して『月給』は、月の出勤日数等に関係なく定額で給料が支給されます。また、『日給』は、1日の単価が決められていて、それに実際に出勤した日数を乗じた額を支給します。」
【解説】
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私が扱う労務管理の分野では、多くの事業主の方が、意味を取り違えていたり、誤って解釈している法律用語や法律知識が非常に多くあります。
ただ、単に誤解しているだけで済む程度のものでしたらさほど気にすることはないのですが、その間違った解釈のために大きなトラブルへと発展してし法律用語や知識を正しく理解することは経営においても非常に重要な事と言えます。
さて、ご質問の給料の支払い方である「月給」「日給月給」「日給」についてですが、従業員に支払う給料の支払い方は、どのような支払方をしても法律的には問題がありません。
正社員に給料を時給で支払っても、日給で支払っても、全く問題ありません。
ところで、「時給」は、問題ないのですが、「月給」と「日給月給」について誤った解釈をされている方が結構います。
「日給月給」を1ヶ月出勤した日数に応じて給料を支払う形式と思われている方がいますが、これは誤りです。
1日の単価を決め、出勤日数に応じて給料を支払う方式は、「日給」です。
「日給月給」とは、給料の金額を月単位で決めます。例えば、基本給を月給で150,000円と定める場合がそれに当ります。
このよう給料を月単位で定めた場合は、月の実労働日数が何日であっても、決められた給料を支払う必要があります。
例えば1月や5月は休日や祝日の関係で、3月や6月とかと比べて出勤日数が少ない場合があります。
しかし、日給月給の場合、月の出勤日数にかかわらず、月給として決められた給料が支払われます。
それでは、「月給」と「日給月給」との違いは何でしょう?
「月給」も読んで字の如く、給料の金額を月単位で決めるのは「日給月給」と同じです。
「月給」と「日給月給」の違いは、「日給月給」の場合は、1ヶ月の間(1ヶの間とは賃金を計算する時の1ヶ月です。例えば、賃金締切日が20日なら、ここで言う1ヶ月間は、前月の21日から今月の20日までの1ヶ月間の事です。)に、欠勤した場合には、その分が控除されます。
また、日給月給の場合、月の途中で入社或いは退社した場合にも、日割り計算されます。
しかし、「月給」は、欠勤しても欠勤控除されず、1ヶ月のうち何日出勤しても月給として定められた金額が支払われる必要があります。
従って、月の途中で入社或いは退社しても1ヶ月分の給料を支払う必要があります。
「月給」の前に「完全」という文字をつけるとイメージが、掴み易いかもしれません。
「日給月給」は一般的な社員、「月給」は管理職や特殊な業務(例えば研究とか一定の期間で成果を出す業務)に従事する従業員の場合に使用される場合が多いです。
ところで、給料の額を「月々○○円」という言い方をすると、「月給」なのか「日給月給」なのかわかりません。
事業主は、「日給月給」のつもりで言っても、従業員は、「月給」つまり「完全月給」のつもりで受取る場合も考えられます。
そのようなトラブルを避けるためには、日給月給で給料を支給するのであればあれば、雇用契約書等に「日給月給」としっかり記載すること大切です。
最後に余談ですが、一般的に正社員は、月給制でパートタイマー、アルバイトは、時給制、日給制というイメージが持たれています。
ただ、これは必ずしも正確ではありません。
と言うのは、正社員やパートタイマー、アルバイトと言った用語は、法律用語ではありません。
労働基準法では、正社員やパートタイマー、アルバイトと言った用語は使われておらず、全て労働者という言葉に集約されています。
正社員やパートタイマー、アルバイトと言った用語は、会社内で労働者を区分するために便宜的に使われているものです。
ですから、正社員やパートタイマーをどのように区分するかは、本来は、会社の自由なのです。
つまり、正社員とされる労働者の給料が時給で支給されても法律上全く問題ありませんし、逆にパートタイマーの給料を月給、日給月給で支給することも可能です。
ところで、現在、正規社員と非正規労働者の格差が問題となっております。
では、正規社員と非正規労働者の区分は何でされるのでしょうか?
通常、正規社員と非正規労働者は、雇用期間の有無で区分されます。
雇用期間の定めがなければ、それだけ安定した身分となるので正規社員とされます。
ですから、雇用の安定を考える場合には、給料の支給形態ではなく、むしろ雇用期間の定めの有無に着目するのが本来かと思います。
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社会保険労務士 松本 容昌
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