Q67.問題を起こしそうな社員がいるのですが・・・。

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【質問】
 
「最近、ある従業員が、挙動不審が目立ちようになり心配しています。何か大きな問題を起こす前に解雇したいと思うですが、可能でしょうか?」
 
【回答】
 
「労働法の政界では、予防的解雇は、認められていません。」
 
【解説】
 

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長く事業経営を営んでいると、問題を起こしそうな社員に遭遇することがあります。

少し前になりますが、冷凍食品に農薬が混入された事件がありました。

犯人は、その会社の従業員だったことは、ご存知の通りです。
 
 
この従業員が、批判の矢面に立たされるのは、当然のことですが、この事件では、批判の矛先は、会社にも向かいました。

批判の1つは、農薬の持ち込みを阻止できなかった、会社のチェック体制の甘さです。

どんなに厳しいチェックをしていても、実際に事件が起きてしまえば、批判を受けるのは仕方がない面もあります。
 


ところで、この従業員は、性格的にもかなり問題があったようで、上司や会社に対して批判する言動も多かったようです。

世間の批判は、「どうして、このようなトラブルを起こしそうな従業員を漠然と雇用し続けていたのか」といったものでした。

「会社が、もっと早く手を打っていいれば、こんな事件は起きなかった」と思いたくなる気持ちも、わからないではありません。
 
 
ところで、このような問題を起こしそうな従業員は、どの会社でもありうる問題です。

実は、私自身も以前、顧問先から「ある従業員が、悪い友達と付き合い出し、いかがかしいアルバイトを始めたみたいで、このままでは会社に悪影響を及ぼす可能性があるから、解雇したい」といった相談を受けたことがあります。
 
 
しかし、労働法の世界では、このような予防的な解雇は認められていません。
 

労働法の世界では、事件を起こして初めて処分が可能となるのです。

「問題を起こしそう」という経営者の一方的な主観により、解雇権を行使でれば、労働者保護に欠けることは明白です。
 
 
ですから、「何故、もっと早い段階で辞めさなかったのか」という批判は、冷静に考えればおかしなものであることはわかります。(世論を煽るマスコミも大きな責任があると言えますが)

しかし、たとえ法律がそうであっても、実際に事件が起きてしまえば、このような理屈も通らず、会社の信用は大きく揺らいでしまうのが、実情とも言えます。
 
 
労働者を一度雇用してしまうと、解雇については、使用者側には非常に厳しいのが現実です。

ですから、採用時に人物の見極めには、最善を尽くす必要があると共に、常に従業員教育を行っていく必要があることを、今一度ご確認いただければと思います。
 


 
社会保険労務士 松本 容昌
 

 

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