事業経営を営んで行く上で、保険は、非常に重要な存在と言えます。
補償以外に保険に加入する大きな目的に1つに、万一、事故等があった場合に、相手方との交渉等で安心を得たい、というものがあるかと思います・・・。
ところで、示談交渉には、制約があります。
本ブログでは、示談交渉の意外と知られていない事実についてお話していきたいと思います。
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示談交渉は、本来は弁護士等の業務です
万一、事故を起こしてしまった場合には、相手方との示談が成立して、初めて解決となります。
ところで、万一、事故を起こしてしまった時でも、道義的な問題は別にして、「後は、保険会社がすべてやってくれるから安心。そのために保険に入っているんだから・・・」と多くの方が思っているかと思います。
実際、私達が保険に入る理由は、保険金ももちろんですが、万一、事故を起こしてしまった時に、示談や様々な手続きを保険会社等が代わりに行ってくれるという安心感を得る、という面も多分にあります。
ところで、これはあまり知られていないのですが、被害者との示談を加害者に代行して行うことができるのは、本来は、弁護士等の業務です。
少し余談になりますが、弁護士や私達社会保険労務士等のいわゆる「士業」と呼ばれる業務については、法律で一定の制限を課しています。
例えば、従業員が入社した時の、健康保険等の手続きや労災保険の手続きを「業」として行うことができるのは、社会保険労務士だけです。
ちなみに、「業として」の意味は、「報酬をもらって」ということを言います。
他にも、業として決算書を作成、提出できるのは税理士。
業として車庫証明の提出の代行が出来るのは、行政書士というように法律で定められているのです。
つまり、逆の見方をすれば、社会保険労務士資格を有していない人が、業として労災保険手続き代行をしたり、行政書士の資格を有していない人が、業として車庫証明の手続き代行をした場合には、法律違反となります。
同じように、業として示談交渉が出来るのは、弁護士と請求銀額が140万円以下など一定の制限がありますが、司法書士だけなのです。
自動車保険と一部の個人賠償保険は、保険会社が示談交渉をしてくれます
ただし、自動車保険については、保険会社が示談交渉を代行することができます。
士業業界は、自分達の業務が規制緩和されることは、あまり好まないのですが、弁護士等の数に比べて、自動車事故の場合、事故発生数が多いため、示談交渉が行うことができるのは弁護士等、という法律に固執してしまうと、国民があまりに不利益を被ってしまうため、自動車保険について、保険会社が示談交渉を代行できるように定められています。
また、最近では個人賠償責任保険についても、一部示談交渉サービス付きの商品が販売されています。
ただ、ここでポイントとなるのは、全ての保険について、保険会社が示談交渉を行ってくれるわけではない、という点です。
では、実際に示談交渉が必要となる可能性のある保険とは一体どんなものがあるのでしょう?
火災保険や傷害保険、生命保険は、基本的には保険の目的が自分自身であるため、被害者は自分自身ですので、示談交渉はあり得ません。(確かに、火事で隣家を焼失してしまうケースも考えられますが、火災の場合には、火元の責任が問われるのは重過失の場合で、実際の可能性も低いので、ここでは対象外とします)
また、日常生活上で、例えば、子供がキャッチボールをしていて、他人に怪我をさせてしまった場合や、デパートで、陳列してある商品を破損してしまった場合等のための保険として、個人賠償責任保険があります。
この個人賠償責任保険については、先程書きましたように、最近では保険会社による示談交渉サービス付きの商品が発売されています。
自動車保険は、上記のように保険会社が、示談交渉を代行してくれます。
では、事故が発生し示談交渉が必要なのに、保険会社が示談交渉をしてくれない保険があるのでしょうか?
請負賠償責任保険等は示談交渉の代行は行われません
リスク対策において非常に重要な保険なのですが、保険会社が示談交渉を行ってくれない(正確には、示談交渉ができない)保険商品があるのです。
それが、請負賠償責任保険等の業務中の自動車事故以外の事故を補償する賠償責任保険です。
では、示談交渉を行ってくれないとなると、事故が起こった場合には、どうすればいいのでしょうか・・・?
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賠償責任保険の場合、被害者と直接示談を行います
業務中の賠償責任を担保する保険として他には、例えば、駐車場の瑕疵によってお客様の車が破損してしまった場合等を補償する、施設賠償責任保険などがあります。
では、請負賠償責任保険や施設賠償責任保険で、万一、事故が発生した時に、どのように保険金が支払われるのでしょうか?
このような保険の場合の保険会社のスタンスは、契約者自身が、直接被害者と示談を行い、示談した内容に基づいて保険金を支払う、というものです。
もちろん、保険会社も、適正な金額しか支払わないので、示談交渉中においては、その都度、相談には乗ってくれるでしょうが、保険会社が、被害者と直接示談交渉をすることはありません。
つまり、請負賠償責任保険に加入していて、万一、事故が起こってしまって場合に、「保険に加入すれば、事故が起こっても安心と思っていたのに、保険会社は、何にもしてくれない。あの保険会社は、対応が悪い!」と思っても、保険会社の対応が悪いわけではなく、保険商品自体に示談交渉サービスが付いていないのです。
保険代理店の存在が重要となってきます
法律論は、法律論として、現実の問題として、契約者つまり経営者自身が、直接被害者と示談交渉を行うということは、非常なストレスです。
もちろん、法律や経験に長けている方ならいいのですが、ほとんどの経営者の方は、示談交渉に関しては、いわば素人です。
となると、経営者自身が、直接被害者と示談を行えば、かえってトラブルが大きくなってしまうケースも十分考えられます。
では、保険会社が、「示談交渉を行わない」現実を踏まえて、少しでもリスクを軽減するとしたら、どのようなことを考えれば良いでしょうか?
そこで、重要となってくるのが、保険代理店の存在です。
通常、保険加入する時には、保険代理店を通じて加入し(ただし、最近では、ネット等で保険代理店通さず直接加入できる商品も増えてきています)、保険代理店は、加入の手続きを行ったり、保険金請求の事務手続き等を行います。
保険代理店は、契約者にとって1番身近な存在となります。
ですので、請負賠償責任保険等で、保険会社が示談交渉を行わない事故の場合、頼りになるのが保険代理店となるわけです。
保険代理店ならば、契約者と直接相談することができますし、被害者との示談交渉の場にも、同席してくれる場合もあります。
私は、請負賠償責任保険等で事故が起こった場合に、保険代理店の力量が、「示談交渉がスムーズに行くか否か」に大きく影響すると思っています。
逆に言えば、請負賠償責任保険等でに事故に不慣れな保険代理店で保険加入してしまうと、示談交渉がスムーズにいかないことも考えられるのです。
請負賠償責任保険等の賠償責任保険は、リスク対策の面からも重要です。
しかし、これらの保険は事故発生時において、スムーズな事故解決に向けては、保険代理店の力量が大きく影響います。