独立・開業し経営も安定し従業員の数も増えてくると、どこかの段階で、そろそろ退職金の制度を作った方が良いかな?」と考える経営者の方も多いかと思います。
しかし、退職金制度を導入する際には、慎重に検討する必要があります。
本ブログでは、退職金制度導入の際の注意点についてお話ししたいと思います。
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退職金制度の導入は慎重な検討が必要です
退職金制度は、企業経営を行って行く上で重要な問題と言えます。
従業員の側からしてみれば、長年働き定年を迎える時には、60歳以上の年齢となっています。
確かに、現在では、生涯現役という言葉もよく聞かれるようになり、定年後も働き続ける方が多いのも事実ですが、60歳上となれば、労働時間や賃金等の低下も考えられ、定年後の収入は、必ずしも安定的とは言えない場合も多々あります。
また、ご存知のように年金制度も、非常に厳しいのが実情です。
ですから、労働者にとって、退職金は、老後の生活設計を考える上で、非常に重要な要因となります。
ところで、退職金は、法的には経営者に求められている義務ではありません。
ですから、退職金制度が無くても法律的には何の問題もありません。
しかし、先程も書きましたように、退職金は、労働者にとって重要な問題です。
退職金制度が無ければ、労働者の士気にも影響してきますし、有能な労働者の流失にもつながりかねません。
冒頭に書きましたように、独立・開業後、ある一定期間が経過し、 経営がある程度安定してくれば、「そろそろ退職金制度を」と経営者の方が考えるのは、至極当然と言えます。
ただ、ここで1つ注意する必要があります。
先程、書きましたように、退職金制度が無くても法律的には全く問題ありません。
言い換ええば、退職金制度を導入するか否かは、経営者の全くの自由です。
しかし、制度を導入するのが自由だからといって、廃止するのも自由、というわけにいかないのです。
退職金制度は、一度導入すると通常の賃金と同じとみなされ、経営者に支払いの義務が生じます。
つまり、いざ退職金を支払う段階になって、「経営が苦しいから」といって支払いを辞めることは出来ないのです。
また、退職金制度を廃止又は支給額の減額を行う場合も、経営者が一方的に行うことは基本的にできません。
退職金制度の廃止や減額は、労働者にとって重要な労働条件の不利益な変更となるので、廃止又は減額を行うには労働者の同意が必要となってきます。
このように、制度自体を導入するのは、経営者の意思の自由に任されているのですが、一度、導入してしまうと、経営者には大きな責任となります。
もちろん、退職金制度の導入自体は、会社発展のために前向きに検討することは非常に良いことだと思います。
しかし、安易に退職金制度を導入することは非常に危険なことです。
ですから、退職金制度を導入する際には、積立方法や退職金の支給額、退職金規程の内容等慎重に検討する必要があります。
「そろそろ退職金制度が必要かな?」と思った時には、是非、ご参考になさって下さい。
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社会保険労務士 松本 容昌
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