高年齢者の雇用を考える際に、1つ重要な制度があります。

雇用保険の高年齢雇用継続給付金です。

高年齢雇用継続給付は、60歳以降の賃金が、大幅に下がった場合に、雇用保険から給付金が支給される制度です。

この制度は、非常に複雑な制度ですので、詳細にご説明すると数日かかってしまいますので、本ブログでは、概要についてお話ししたいと思います。
 

60歳以降の賃金が、25%以上低下する必要があります


高年齢雇用継続給付金は、60歳以降の賃金が、60歳時の賃金と比べて、まず75%未満に減額することが必要です。

ですから、60歳時の賃金が、30万円の場合は、少なくとも22.5万円未満にならなければ、高年齢雇用継続給付金は、支給されないこととなります。

実際の支給額は、少し分かり難いのですが、給料の減額率が大きくなれば、高年齢雇用継続給付金の支給率は大きくなり、給料の減額率が61%のなったときに、高年齢雇用継続給付金の支給率は、最大の15%となります。

例えば、先程の例で言えば、60歳時の賃金が、30万円ですと、給料が22.5万円ですと、75%ですので高年齢雇用継続給付金の支給率は、0%となります。
 
給料が、22.35万円に減少すると、60歳時の給料に比べて74.5%と75%未満になっていますので、高年齢雇用継続給付金が支給されることとなり、74.5%の場合の支給率は、0.44%ですので、高年齢雇用継続給付金の支給額は、22.35万円×0.44%=983円となります。
 
 
そして、60歳時の給料との割合が61%、つまり18.3万円になった時に、高年齢雇用継続給付金の支給率が最大の15%となり、18.3万円×15%=27,450円が支給されます。

しかし、さらに、給料の額が下がっても、高年齢雇用継続給付金の支給率は、 変わらないので、例えば、給料が15万円と50%となっても、支給率は、15%のままですので、高年齢雇用継続給付金は、15万円×15%=22,500円となります。
 
 
高年齢雇用継続給付は、このように60歳時の給料と60歳以降の給料との割合で支給額が決定される仕組みとなっています。

なお、高年齢雇用継続給付は、給料が減額される他にも雇用保険の加入期間等の支給要件もありますので、詳しくはお近くのハローワーク等へお問い合わせ下さい。
 
 
さて、60歳以降の賃金設計をする場合に、通常は、在職老齢厚年金と今回お話しした在職老齢厚生年金の2つを組み合わせて、シュミレーションをしていくこととなります。

ところで、「60歳以降の最適賃金シュミレーション」といったソフトも販売されている位、労働者の60歳以降の賃金設計は、経営にとっても重要な問題です。

ただ、私は、60歳以降の賃金シュミレーション自体には、異論はないのですが、その考え方の風潮について昔から疑問を持っています。
 
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賃金は、労働の対価として支払われるものです


建前論なのかもしれませんが、賃金は、本来、労働の対価として支払われるものです。

その労働者が、提供する労働の価値によって賃金は決まります。

ですから、加齢と共に労働力の価値は下がったきますので、それに応じて賃金額も下がるのはやむ得ないところがあります。
 
 
ところで、年金は、労働者の個人に属する権利です。

ですから、本来は、その個人的な権利を賃金決定の要因にするのは、おかしな話です。

例えば、賃貸住宅を所有している労働者に、「あなたは家賃収入が○○万円あるから、給料は、これ位にします。」とは絶対にならないですよね。

となると、「あなたの年金額は○○万円だから、賃金は、この額となります。」という考えも、本来の労働契約のありかたからすれば、少し違うと思います。

「60歳以降の賃金は、70%とする」という規定があれば、会社の規定ですから、公平感は保たれます。
 
 
しかし、年金額を賃金決定の要因にすると、当然、年金額は、個人によってその額が違ってきます。

となると、有能な労働者がたまたま年金額が多いと、給料が下がる割合が、他の労働者より多くなってしまうことも考えられます。

経営者からしてみれば、「従前の給料と貰う額が同じだから構わないだろう」と思えるかもしれませんが、労働者によっては、賃金は、生活の糧でもありますが、自分自身への評価でもあります。
 
 
もちろん、60歳以降の賃金を考える場合に、在職老齢年金や高年齢雇用継続給金といった制度を利用することは、間違いでありません。

しかし、60歳以降の賃金は、これらの制度を使って賃金を決めるのが、当然のような風潮があります。

私は、60歳以降の賃金であっても労働者の能力や経験、今後の会社への貢献度等、本来の賃金決定の要因も十分考慮する必要があるのではないかと思います。
 

 
社会保険労務士 松本 容昌
 
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