雇用保険は、労働者の失業時に、生活の安定のために一定期間収入を保障する制度です。

ところで、取締役は、労働者ではないので、本来は、雇用保険に加入することは出来ません。

しかし、一定の条件の満たすことにより、取締役でも雇用保険に加入できる場合があります。

本ブログでは、取締役の雇用保険への加入についてわかりやすく解説してあります。

取締役でも雇用保険に加入できる場合があります


法人の取締役は、委任契約によって報酬が支払われます。

ですから、元々は、法人の取締役は、労働者では無いこととなります。

そのため、労働者では無いわけですから、使用者の指揮命令下に置かれているわけではなく、労働の対価として賃金を受取るわけではありません。
 
 
しかし、中小企業では、労働者の身分のまま取締役に就任する場合が、珍しくありません。

取締役になったけど、賃金等の労働条件は、全く変わらないという場合も、決して珍しくありません。

変わったのは、登記簿謄本に取締役として名前が載ったくらいとか(笑)

このような実情を踏まえて、雇用保険では、法人の取締役であっても、労働者性の身分が強い場合には、雇用保険の被保険者となれることとしています。

一般に「兼務役員」と言われる制度です。
 
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「兼務役員に関する証明書」の発行が必要です


ただ、ここで注意しなければならないのは、単に労働制者性が強い、だけということで、雇用保険の被保険者にわけではありません。

取締役であっても、労働者性の身分の方が強いということを、ハローワークに届出て、証明書を発行してもある必要があります。

この証明書を、「兼務役員に関する証明書」と言います。
 
 
法人の取締役は、この証明書を発行してもらって、雇用保険の被保険者となることができます。

証明書の発行には、賃金台帳、出勤簿、労働名簿、組織図、登記簿謄本、経理帳簿等を添付します。

助成金の申請をする場合には、取締役が、雇用保険の被保険者になっている場合には、兼務役員の証明書の提出が必要になる場合が多いのです。
 
 
ところで、法人の取締役で雇用保険の被保険者となっている方は、本来、この証明書を発行してもらっていいるはずです。

しかし、現実には、加入の手続きの際には、登記簿謄本を提示させるわけではないので、その加入者が、取締役かどうかまで、わからないので、現実には、証明書が無い状態で、雇用保険の被保険者となっている取締役の方は、大勢存在していると言えます。

この兼務役員の証明書ですが、本来は、取締役に就任した時に手続きを取る必要があるのですが、実は、過去に溯って手続きを取ることも可能です。
 
もし、助成金申請予定で、対象の労働者が取締役で、証明書の発行手続きをされていない場合には、至急手続きの準備をされた方が良いでしょう。
 
 
ところで、取締役が、雇用保険の被保険者となるには、「労働者性の身分が強い」必要があります。

では、「労働者性の身分が強い」とはどこで判断されるのでしょうか?

実は、「労働者性の身分が強い」ことを認めてもらうのは、いくつかのポイントがあります。
 
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出勤簿等により労働時間が管理されている必要があります


法人の取締役であっても、労働者性の身分が強い場合には、雇用保険の被保険者となることができます。

その場合、ハローワークで、兼務役員の証明書により、労働者性の身分が強いことを認めてもらう必要があります。

ということは、逆に言えば、労働者性としての身分が強くなければ、雇用保険には加入できないということとなります。

助成金等の関係で、兼務役員の証明書を発行してもらえない場合には、助成金申請に影響が出る場合も考えられます。
 
 
取締役が、労働者みなされるか否かにはいくつかポイントがありますが、最も大きなポイントは、出勤簿と賃金の支払い状況と言えます。

まず、出勤簿についてですが、そもそも労働者の定義に「使用者の支配下に置かれているということが挙げられます。

「使用者の支配下」には、いろいろな意味が含まれていますが、その中に労働時間の管理があります。

また、使用者には、労働者の労働時間を管理する義務があります。
 
 
つまり、労働者であるといことは、何らかの労働時間を管理する帳票が存在することとなります。

それが、出勤簿やタイムカードとなります。

ところで、取締役は、委任契約となり、労働契約とは性質が違うため、使用者に労働時間を管理されることはありません。

となると、出勤簿やタイムカードいった労働時間を管理する帳票がないということは、労働時間を管理されていないとみなされてしまいます。

結果として労働者性が無いとみなされていまう可能性が強くなってしまします。

従って、取締役を労働者として取扱う場合には、必ず出勤簿又はタイムカードにより労働時間の管理を行うようにして下さい。

では、次にもう1つの大きなポイントである賃金の支払い状況についてお話ししたいと思います。
 
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報酬が賃金で支給されている必要があります


「賃金」は、本来、労働の対価として支払われるものです。

労働契約は、労働者が労働を提供し、その対価として使用者が、その対価を支払う契約です。

それに対して取締役は、前回お話ししたように委任契約ですので、取締役が、受取る対価は、賃金ではありません。

通常は、役員報酬として支給されます。

つまり、取締役が、労働者性身分が強いということは、受取る対価が、賃金である必要があります。
 
 
ただし、必ずしも全額賃金である必要はないのですが、少なくとも賃金としての受取額が役員報酬として受取る額より多いことが必要となってきます。

逆い言えば、役員報酬の額が、賃金としての額より多い場合には、労働者としてみなされない可能性が高くなります。
 
 
ところで、受取る対価が役員報酬か賃金かは、何処で区別されのでしょうか?

お金に区別の色が付いているわけではありませんよね(笑)

賃金台帳や給与明細で確認をとっても、支払う額が変わるわけではないので、実際には、明細項目は、自由につくれてしまいます。

本来は、株主総会で取締役の報酬の関する決議がなされ、それに基づいて、報酬が支払われるのですが、中小企業の場合には、そのような手続きを踏まず、報酬が支払われているケースが実際にはあります。

ですから、実際には、取締役の報酬について、あまり深く考えないで支払っている事業主の方もいるのではないかと思います。
 
 

決算処理の方法が非常に重要です


しかし、取締役の報酬に関して、1つ重要な問題があります。

それは、決算処理です。

ハローワークで兼務役員の証明を発行してもらうには、決算書類を添付する必要があります。

もし、取締役の報酬が賃金台帳上では、賃金として支払われていても、決算上で、役員報酬として処理されていれば、つじつまが合わなくなってしまいます。

このような場合には、当然、決算書類が優先されます。
 
 
ですから、決算処理の内容によっては、労働者としてみなされないケースも出てきます。

実際、私自身、このようなケースに何度か遭遇しています。

もちろん、それ自体は、法律的には問題が無いことです。

ですから、取締役を雇用保険に加入させる場合には、報酬の決算処理について、税理士等、決算を行う方に十分その旨を伝える必要があります。

最後に1つ確認ですが、雇用保険の被保険者とするために、報酬を賃金として支払うのではなく、あくまで、労働者性が強いためにその結果として、賃金として支払われるのです。

例えば、助成金の関係で、どうしても取締役を被保険者にしたいから、賃金で決算処理するのは間違いと言えます。

もし、役員性が強いのであれば、役員報酬として支払うべきであり、その結果、助成金の申請ができなくなっても、それはそれとして受入れることが本来と言えます。
 

 
社会保険労務士 松本 容昌
 
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