ご存知のように長時間労働は、日本における長年の大きな社会問題です。

電通やNHKでの痛ましい事件も記憶に新しいかと思います。
 
 
しかし、長時間労働については、正直、何十年も前から問題視されてきています。

有給休暇の取得促進や割増賃金の割増率のアップ等の様々な対策が講じられてきましたが、この問題は、なかなか解決されません。

確かに長時間労働は、非常に難しい問題です。

長時間労働は、単に働く時間の長さだけが問題となりますが、この問題を解決するには、長時間労働の本質を考える必要があると思います。
 
 
そして、この問題は、働くのが従業員であるため、従業員側の視点から論じられることが多いのですが、私は、もっと経営者側から考える必要があるのではないかと常々考えています。

本ブログでは、長時間労働の本質と経営者側からの視点により、長時間労働の問題について書いてみました。

「残業の本質」を考えることが重要です


経営者にとって長時間労働の削減程悩ましい問題は無いでしょう。

長時間労働は、時間外労働、残業時間の長時間化です。

つまり、長時間労働の問題は、いかにして時間外労働、残業時間を削減するかの問題となります。

この問題は、とても難しい問題と言えます。
 
 
多くの専門家が、いろいろな残業時間を減らす方法を述べています。

しかし、現在でも残業時間について悩んでいる経営者の方は非常に多いと言えます。

つまり、残業を減らす方法は、なかなか効果的なものがないのが実情です。
 
 
ただ、私は、以前から、専門書等で述べられている、残業時間を減らす方法について疑問を持っていました。

というより、専門書等に書かれている残業を減らす方法自体は、決して間違っていないのですが、残業を減らす方法をダイレクトに考えるのではなく、その前に、現在、行われている「残業の本質」を考える必要あるのでは?と考えています。
 
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何故、従業員は残業をするのか?


もし、今、このブログをお読みのあなた様が、従業員の残業時間の多さで悩んでいるとしたら、「何故、従業員の方は、残業をするのか?」ということを考えたことがあるでしょうか?
 
 
私は、「従業員が、何故、残業を行うのか?」まずその点を経営者の方が、考えることが、残業を減らす方法を考える上で最も重要なポイントと考えます。
 
 
これから、残業を減らす方法について、私なりの考えを書いてみたいと思います。

私の顧問先でも残業時間の多さに悩んでいる経営者の方は多くいます。

そもそも、残業を減らす方法を考える際に、「残業」を単に1つの概念で考えるのに無理があるのではないでしょうか?

つまり、一口に「残業時間」と言っても、「何故、従業員は残業するのか?」

その理由は、いくつかの理由に分かれると言えます。

残業する理由が、いくつかあるのであれば、その残業を減らす方法も、それぞれの理由に応じたものでなければならないと言えます。
 
 
では、従業員が残業する理由とは、どのようなものがあるのでしょう?

まず、第1に考えられるのが、「業務の必要上、残業する」場合です。

例えば、締切りや納期の関係で残業しなければ業務に支障が出る場合です。このような場合では、基本的には、従業員本人の意思とは関係なく残業を行う必要性があります。
 
 
もし、このような場合、単に残業時間を削減する、という概念だけでは、結果的に業務に支障が出てしまいます。

もし、現在、行われている残業が、業務上、やむを得ず行われているのであれば、残業を減らす方法を考えるのではなく、業務全体の効率化を考える必要があるのです。
 
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「ノー残業ディ」では残業を減らせない理由は・・・?


現在の売上は、現在の労働量(つまり労働時間)と労働生産性で成り立っているわけです。

もし、労働生産性を変えずに労働時間だけを減らせば、売上は、当然、減少します。

逆に言えば、売上を変えずに、労働時間を減らすには、労働生産性を上げるしか無いはずです。
 
 
もし、仮に「ノー残業ディ」を設けても、従業員は、売上を落とすことは、通常は許されません。

 

ですから、従業員、自らの生産性を上げることが出来なければ、これまでの売上を維持しようとしたら、必要な労働時間を確保するしかありません。

結果的に、自宅等で労働することとなってしまいます。

つまり、現在、行われている残業が、売上を確保するために行われているのならば、残業を減らす方法を考えるのではなく労働生産性を向上させる方法を考えるべきです。
 
 
ところで、労働生産性を向上させるには、個々の労働者の意識や能力の問題もありますが、個々の労働者だけに残業時間の削減の責任を負わせるのには限界があります。

むしろ業務の効率化は、経営者が主導権を持って行うべきです。

つまり、現在行われている残業が、業務上必要な残業である場合に、それを削減するためには、経営者主導で業務の効率化を図るべきなのです。

逆に考えれば、経営者が、労働者に対して、ただ「残業時間を減らせと」 と言っているだけでは、絶対に残業時間は減らないとこととなります。
 
 
ところで、従業員が、残業を行う理由は、まだ他にも考えられます。

では、従業員が残業をする理由について別の視点から考えてみたいと思います。
 
 

従業員の意思で残業する理由も複数考えられます


従業員が残業をする理由として、業務上の必要性が無いにも関わらず、従業員が、自らの意思で残業をする場合が考えられます。

さらに、「従業員の意思」ですが、「意思」にもいろいろな種類があると言えます。

まず、従業員自身が純粋に仕事が好きで、とにかく長時間仕事となってしまう場合です。

もう1つ代表的なケースは、残業時間を増やして、所得を増やしたい場合です。

さらに、帰宅してもつまらないから会社に残っているケースな ども考えられるでしょう。
 
 
ところで、ここで考えなければならないのは、業務上の必要性が無いにもかかわらず、従業員の意思で残業すると言うことは、企業にとって全てがマイナスとなるかどうかです。

必ずしも全てがマイナスにはならないのではないでしょうか?

私は、ここが非常に重要な点だと考えています。これまで書いてきましたように、残業を行う理由に様々な要因があるように、「従業員の意思にも様々あります」となれば、当然、それに対する、対処方法も変わってきます。

個々のケースについて考えてみたいと思います。
 
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労働意欲の高さの表れでもあります


先に書いた、純粋で仕事が好きで、その結果、長時間の残業となってしまう場合ですが、このような労働者は、長時間残業をすることの善悪は別にして、企業にとって、そのような労働者は、貴重な存在の場合が多いと言えます。

何故なら、純粋に仕事が好きであれば、労働意欲が高く生産性も高い場合が多い、と考えられるからです。

このような労働者に対して、単純に労働時間を削減させれば、労働意欲に低下に繋がる可能性もあります。
 
 
しかし、当然ですが、長時間労働は、健康に害を及ぼす可能性があります。

健康を害してしまえば、会社にとってもマイナスですが、労働者自身が、結果的には大きな損失を被ってしまします。

このような労働者の残業時間を削減しようとするならば、長時間労働が及ぼす健康被害等を踏まえて話し合いをする必要があります。
 
 

無駄な残業の場合もあります


次に「労働者自身が所得を増やしたい場合」「大した理由も無いにのに会社に残っている場合」はどうでしょう?

このような場合は、当然ですが、ほとんどが無駄な残業と考えられます。

いわゆる「ダラダラ残業」と言われるケースです。

このような残業こそ真っ先に削減すべきでしょう。

では、このようなケースに対してはどのように対処すべきでしょうか?
 
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残業内容の適正化を考える必要があります


会社にとって不必要な残業であるにもかかわらず、ダラダラ残業を行う従業員は、必要な残業と主張するでしょう。

「この残業は、本当に必要なのか?」と聞けば、「はい、必要です」と答えるでしょう。
 
 
ところで、ダラダラ残業の問題の根本は、従業員の申告をそのまま賃金に反映させてしまっていることです。

本来は、残業が必要か否かを、経営者が、判断すべきなのです。
 

残業の申告制は有効な手段の1つです


このような場合、残業を減らす方法として用いられるのが、残業の申告制です。

タイムカードの時刻で、割増賃金を支払うのでなく、申告された残業<中の業務内容によって、残業の必要性を判断するのです。

この制度は、効果を期待することができます。
 
 
ただし、この制度の最大のポイントは、判断する側、例えば、事業主 や所属長がその労働者の業務内容を把握している必要があります。

業務内容を把握していなければ、結局は、従業員の申告を鵜呑みにするしかないのです。

それでは効果が、半減してしまいます。
 

ですから、ただ残業申告制を導入すれば良いのではなく、それに伴い判断する側も、従業員の業務内容を把握する必要があるのです。

となると、当然に、経営者側の負担が増えます。

しかし、ここで考えなければならないのは、何もしなくて残業を減らす方法はないのです。

残業を減らすための何らかの方法に取組めば、何処かに負担がかかります。
 
 
大切なのは、その負担をいかに削減するかです。

この点につきましては、後述したいと思います。

その前に、残業をする理由のもう1つのパターンについてご説明したいと思います。
 
 

上司は、何故帰らないのか?


従業員が残業する理由に、「上司がなかなか帰らないから帰れない」といった理由をよく聞きます。

これは日本特有なのかもしれません。

しかし、これは本当に無駄な残業です。

部下は、本来業務終了後も全く会社にいる理由が無いのに、上司が残っている、という理由だけで残業をしていたとしたら、会社にとっては大きな損失です。
 
 
この問題の非常に難しい点は、従業員側からすれば、早く帰りたくても上司の目が気になる、査定に響く等の理由で残業をせざる得ないのですが、逆に上司の方も、残業する従業員を「あいつは頑張っている」と評価する、逆に言えば、早く帰る従業員を「あいつは、ろくに仕事もしないで、終業時間だけは守る」と査定の評価要因にしがちなところもあります。

この問題は、上司の個人的な要因も影響してきます。

この問題を考えるとしたら、まず「何故、上司は残業をするのか?」をまず考えるべきです。
 
 
これまでお話ししてきましたように、従業員が残業する理由はいくつかあります。

上司も従業員ですから、当然残業する理由があります。
 
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上司の残業に合理性の有無を考える


問題となるのは、上司が残業する理由と部下が残業する理由に合理性があるか無いかです。

例えば、上司が残業する理由が、業務上の必要であった場合に、部下がその仕事を手伝うために残業するとすれば、これは合理性があります。

上司の残業も部下の残業も、現時点では必要なものです。
 
 
しかし、この場合には、「上司がなかなか帰らないから帰れない」という声は上がらないはずです。

つまり、このような声があがるのは、上司の残業する理由と部下の残業する理由に合理性がないのです。

上司が残業する理由が、たとえ業務上必要であっても、部下はそれ を手伝う必要が無い場合には、部下にとっては、「上司がなかなか帰らないから帰れない」ということとなってしまいます。
 
ましてや、上司が自分の勝手な都合で残業していたとしたら、従業員にとっては迷惑千万となります。
 
少し回りくどい言い方になってしまいましたが、この問題のポイントは2つあると言えます。
 
 

会社の風土や気質に問題が・・・


まず、「上司がなかなか帰らないから帰れない」という理由で、残業時間が問題となっているなら、まず、当然ですが、上司が残業する理由を確認することですが、もう1つのポイントが、上司の査定評価の能力です。

上司が勝手な理由で残業しているにも関わらず、残業しない従業員を低評価するのは問題です。

逆に、部署全体が忙しいのに、さっさと帰ってしまう従業員をマイナス評価するのはある意味妥当と言えます。
 
 
結局、先にも書きましたが、この問題は、上司の個人的な要因に負うところが非常に大きい、と言えます。

つまり、上司が部下を個人的な感情ではなく、正しく評価する能力を付ける 必要があります。
 
 
しかし、それは必ずしも個人の性格や性質だけの問題ではなく、会社の風土や気質に寄るところが非常に多いのです。
 
となると、評価制度の在り方や会社の風土や気質、そういった問題も根本から見直さなければならないでしょう。
 
ですから、私は、「上司がなかなか帰らないから帰れない」

これは、 非常に根深く奥が深い問題と言えるでしょう。
 
 

残業は削減は、労働者の問題ではなく経営者の問題です


この問題を解決するには、会社が、一丸となって取組む必要があるでしょう。

ところで、残業時間の削減については、今回で4回目ですが、残業の理由に いくつか挙げ、その解決の方法を書いてきましたが、その中で1つ共通するキーワードがあります。

それは、残業時間を削減しようとする場合に、最も重要となるのが、経営者の存在です。
 
 
残業は、従業員がするので、従業員側の問題と思われがちですが、残業を 減らす方法を考える上で、最も重要なことは、経営者がいかに残業を減らすためにリーダーシップを取るかです。
 
例えば、最初にお話しした、現在行われている残業が、業務上やむを得ないものであった場合に、残業を減らすためには、業務を効率化する必要があります。

しかし、業務の効率においては、従業員個々の力では限界があります。

経営者の関与がどうしても必要となってきます。
 
 
つまり、いくら経営者が、「残業時間削減」や「業務効率化」と叫んでいても、経営者がそれを労働者の責任に任せている限り、絶対に実現されないでしょう。

残業を減らす方法としてよく知られているものでの、「ノー残業デイ」があります。

これは経営者サイドが、一方的に残業禁止の日を設けて、後は従業員任せの方策です。

ダラダラ残業に対してもある程度、効果が期待出来るかもしれませんが、 業務上やむを得ず残業している場合に、結局、家に仕事を持ち込まざる得なくなります。

これでは、残業時間を削減するための根本の所を解決しようとする労力を経営者が行っていないこととなります。
 
 
結局、残業時間の削減は、経営者が従業員に対してお題目のように「残業時間を減らせ」と言っている間は、残業時間が減ることはないでしょう。

ご参考になれば幸いです。
 

 
社会保険労務士 松本 容昌
 
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