労働基準法には、平均賃金という規定があります。

あまり聞き馴れない用語ですが、実は、通常業務において平均賃金を用いる機会は、意外に多いものです。

本ブログでは、平均賃金の計算方法についてわかりやすく解説していきたいと思います。

平均賃金は、休業手当の支払い、減給時等に用います


平均賃金は、労働基準法等で定められている解雇予告手当や休業手当、減給制裁の制限額を算定するときなどの基準となる金額です。

平均賃金の計算は、少し複雑なところがあるので、ここではまず基本的な計算方法と注意すべきポイントについて説明していきたいと思います。

平均賃金の基本的な計算方法は、平均賃金を算出する事由の発生した日以前3か月間に、その従業員に支払われた賃金の総額を、その期間の暦日数で除して計算します。
 
 
少し具体的に説明しますと、まず、「平均賃金を算出する事由の発生した日」とは、例えば、従業員を会社の都合で休業させて休業手当を支払う必要があるのなら、従業員を休業させる日が、「平均賃金を算出する事由の発生した日」 となります。

ですから、平均賃金は、従業員を休業させる日以前、3ヶ月間に支払われた給料を基に計算します。
 
 
ただし、ここで1つ条件があり、賃金締切日がある場合には、直前の賃金締切日以前3ヶ月間の給料を基に計算することとなります。

ここは、少しわかり難いので具体的に説明したいと思います。

仮に、給料の締切日が20日で、7月10日に従業員を休業させたとします。

この場合、平均賃金は、7月10日以前3ヶ月にその従業員に支払った給料総額で計算するのですが、賃金締切日があるので、平均賃金は、直前の賃金締切日(ここでは6月20日となります。)以前の3ヶ月間の給料を基に計算することとなります。

つまり、6月分、5月分、4月分の給料をの総額となります。

そしてこの総額を、暦日数で除することとなります。

例えば、4月分の給料が25万円で5月と6月の給料が26万円とします。

総額は、77万円となります。
 
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平均賃金は、暦日数で計算します


これを暦日数で除します。

暦日数は、3月21日から6月20日までの92日となりますでの、77万円÷92日=8369.56円が、この場合の平均賃金となります。

このように平均賃金は、計算されます。なお、平均賃金を計算する際の日数は、労働日数ではなく、あくまで暦日数ですのでご注意下さい。
 
 
ところで、このような平均賃金の計算方法によると、月給や日給月給等で給料の額がある程度固定されている場合には良いのですが、給料の多くが時給等で支給されている時には不都合が生じる場合があります。

例えば、先の例で言えば、平均賃金を計算する期間に5月が含まれています。

5月には、ゴールデンウィークがあるので、時給や日給制の場合には、労働時間が通常の月より少ないため、給料の額が少なくなってしまう場合があります。

これをそのまま、暦日数で除すると、平均賃金が極端に低くなってしまう可能性が出てきます。

このように給料の多くが時給等で支払われている場合には、休日や欠勤日が多い場合には、平均賃金が減少してしまうおそれがあります。
 
 
ですから、平均賃金には、最低保障額が設けられていて、そのための計算方法も定められています。

つまり、基本的な計算方法で算出された平均賃金が、最低保障額に満たない場合には、最低保障額が平均賃金となります。
 
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平均賃金には、最低保障額があります


繰り返しになりますが、原則として平均賃金を算出する事由の発生した日以前3か月間に、その従業員に支払われた賃金の総額を、その期間の暦日数で除して計算します。

そして、賃金締切日が有る場合には、平均賃金を算出する事由の発生した日の直前の賃金締切日以前3ヶ月間の賃金総額を用いて平均賃金を算出します。

しかし、この計算方法の場合、給料が時給や日給等で支払われている場合には、休日や欠勤日数等が多いと、平均賃金の額が減少してしまう可能性があります。

欠勤はともかく、休日については、従業員自身の問題では無いので、平均賃金を計算する際に、たまたま年末年始やお盆休暇等労働日数が少ない月が入っていると、労働者にとっては、不条理となってしまいますので、労働基準法では、平均賃金について最低保障額を定めています。
 
具体的には、平均賃金を計算する期間については、変わらないのですが、その期間に支払われた賃金が、時給や日給等の場合には、その総額を実際に労働した日で除した金額の60%を平均賃金の最低保障額としています。
 
 
これだけではわからないと思いますので、具体的な事例でお話したいと思います。

賃金締切日が月末の会社で、7月10日に従業員を会社の都合で休業させたために、労働基準法で定められた休業手当を支給するために平均賃金を算出するとします。

平均賃金の計算期間は、平均賃金を算出する直前の賃金締切日以前3ヶ月間となりますので、4月、5月、6月となります。

この従業員は、時給で賃金が支払われていて、4月の給料が15万円、5月が7万円、6月が14万円とします。

そして、実際に働いた日数が、4月が20日、5月が14日、6月が20日とします。

まず、平均賃金を原則的な計算方法で算出してみると、3ヶ月の賃金総額が、36万円で暦日数が91日となりますので、平均賃金は、3956.04円となります。
 
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平均賃金の最低保障額は、実労働日数を用います


では、この金額が、最低保障額を上回っているか確認します。

最低保障額は、3ヶ月間の賃金総額を実際に労働した日で除した金額の60%となります。

3ヶ月間に実際に労働した日数は、54日となりますので、まず3ヶ月間の賃金総額36万円を54日で除します。

36万円÷54日=6666.66円となり、この60%が最低保障額となります。

6666.66円×60%=4,000円が、最低保障額となります。

つまり、原則的な計算方法で算出した平均賃金の額が、最低保障額を下回っているので、このような場合には、4,000円を用いて休業手当を支給しなければなりません。
 
このように賃金が、時給や日給等で支給されている場合には、平均賃金の最低保障額を計算して、原則的な計算方法で算出した平均賃金が、それを上回っているかどうかを確認するする必要があります。
 
 
なお、今回は、賃金の全額が時給で支給されている前提で計算しましたが、実際には、賃金が月給で計算される部分と残業代等時給で計算される部分と混在している場合もあります。

そのような場合には、今回お話しした計算方法を応用して平均賃金を算出することとなります。
 
計算方法は少し複雑になるので、詳細につきましては、行政官庁等でご確認いただければと思います。

ここでは平均賃金の原則的な計算方法と最低保障額についての基本的な考え方をご理解いただければ良いかと思います。
 

 
社会保険労務士 松本 容昌
 
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