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【質問】
「当社は、従業員10名程度の零細企業です。先日、税理士の方から、そろそろ就業規則を作成した方が良いと言われました。当社のような小さな会社でも就業規則を整備した方が良いのでしょうか?」
【回答】
「従業員数が10名以上の場合、就業規則の作成義務が生じます。また、就業規則は、会社を守る唯一のものですので、作成義務が会社であっても、就業規則の整備をお勧めします。」
【解説】
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就業規則は、労働者の労働条件や会社内で労働者が守るべきルール等を記載したものです。
ところで、この世の中で労働者を保護する法律はたくさんあります。
そうですね。真っ先に挙げられるのが、労働基準法です。
それ以外にも、最低賃金法、労働者災害補償保険法(いわゆる労災保険法です)、男女雇用機会均等法、雇用保険法等本当に数多くあります。
最近では、労働契約法という法律も制定されました。
それでは、使用者つまり事業主、会社を守る法律は?と聞かれれば・・・。
残念ながら、使用者を保護する目的で制定されている法律は、存在しないのです。
つまり、使用者というものは、全く法律保護されていない状態で、かたや、法律で手厚く保護されている労働者と対峙しているわけです。
確かに、それだけ使用者が、労働者に対して優位な立場にいるからなのですが、でもあまりに不条理な面もあるような気がします。
しかし、法律では無いのですが、使用者を保護するものが、1つだけあるのです。
それが、「就業規則」なのです。
「就業規則」は、労働者を保護するものでは?と思われる方もいるかと思います。
確かに、就業規則には、有給休暇や割増賃金等労働者の権利を記載します。しかし、会社内で守るべきるルール(服務規程)や懲戒規定も記載するのです。
労働者が、何か問題を起こした時に、その解決の根拠となるのが、服務規程や懲戒規定になるのです。
また、服務規程や懲戒規定などがあるから労働者に対して抑止力が働くとも言えます。
つまり、就業規則は、労働者の権利を明確にする面もありますが、それ以上に使用者を保護する意味合いの方が強いのです。
このように使用者にとって就業規則とは、使用者自身を守る唯一の法律なのです。
ところで、先程、労働者を保護する法律は、多々あると書きました。
しかし、それらの法律は、労働者自身がつくることは出来ないですよね。(法律を作るのは、国会議員です。)
では、就業規則は誰が作成するのでしょうか?
そうなんです。
就業規則は、使用者自身の手で作ることができるんです。
これは、使用者にとって唯一の、そして非常に大きな優位な点なんです!
ここで是非覚えておいて欲しいのです。
私は、よくセミナーでこんな例え話をします。
使用者が、使用者自身を守る就業規則を作成しないということは、戦場で武器や弾薬が使用者自身の近くにあり、それを使用することを許されているにも関わらず、それらを使わずに素手で戦場に飛び込んでいくようなものなんです。
それ位使用者にとって就業規則は、重要なものなんです。
就業規則が無い、あるいは何年も見直してない場合には、是非、就業規則の作成、見直しをお勧めします。
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社会保険労務士 松本 容昌
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