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【質問】
「先日、労働局から、労働保険の年度更新の書類が送られてきました。毎年、この時期に手続きをして、保険料を支払っているのですが、仕組みが良くわかっていません。労働保険の年度更新とはどのような業務でどのように計算すればよいのでしょうか?」
【回答】
「労働保険の年度更新は、予め納めてある保険料の過不足の計算をして、翌年度の保険料を見込みで収める手続きとなります。」
【解説】
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毎年、6月に労働保険の年度更新が行われますが、ご質問者様のように制度の仕組みをあまり理解せずに手続きを行っている方も多いかと思います。
労働保険の年度更新を理解するにはいくつかのポイントがあります。
まず、労働保険ですが、これは、労災保険と雇用保険の総称を言います。(労働保険という保険があるわけではありません。)
そして、保険料は、建設業等の一部の業種を除いて、従業員に支払った給料の総額を基に保険料を計算します。
また、保険の年度は、毎年4月1日から翌年の3月31日までの1年間となります。
さて、労働保険の年度更新の仕組みを理解するには、創業時を考えると理解しやすいので、創業時を例にしてご説明します。
仮に、平成30年4月1日に創業をして、従業員を雇用して、平成30年4月1日より、労災保険と雇用保険(以下、労働保険とします)に加入するとします。
先程、書きましたように、労働保険料は、従業員に平成30年4月1日より平成31年3月31日までに支払った給料の額を基に算出されます。
しかし、労働保険に加入した時点では、これから従業員に給料を支払っていくわけですから、正確な額がわかりません。
ですから、労働保険に加入する時点では、とりあえず、見込みの給料額を基に保険料を算出します。
これを概算保険料と呼びます。
では、平成30年4月1日の労働保険に加入する時点で、見込みの保険料を10万円支払ったとします。
そして、1年が経過し、平成31年3月31日を過ぎると、平成30年4月1日から平成31年3月31日までの1年間に支払った給料の額が確定します。
この確定している給料額を基に、正確な保険料を計算します。
これを確定保険料と呼びます。
労働保険に加入する時点では、あくまで予想で保険料を納めているので、当然、過不足が出でます。
例えば、実際に支払った給料額を基に計算した保険料(確定保険料)が、12万円だとすると、2万円不足となります。
ですから、不足分の2万円をこの時点で支払うこととなります。
そして、さらに、平成31年4月1日から平成32年3月31日までの見込みの保険料(概算保険料)も納めることとなります。
平成31年4月1日時点、概算保険料を算出する場合、通常は、昨年に支払った給料の額(今回の例で言えば、平成30年4月1日から平成31年3月31日)を基に算出します。
ですから、保険料率に変更がなければ、確定保険料と翌年の概算保険料は、同額となります。
今回の例で言えば、保険料率に変更がなければ、平成31年4月1日からの保険料は12万円となります。
結果的に、平成30年4月1日から平成31年3月31日までの確定保険料の差額2万円と平成31年4月1日からの概算保険料12万円との合計14万円を納めることとなります。
では、次に逆のケースを考えてみたいと思います。
先程の例で、平成30年4月1から1年間の確定保険料が、8万円だったとします。
概算保険料として、10万円納めているので、2万円多く支払っていることとなります。
ここでまず確認ですが、先程、書きましたように、翌年度の概算保険料は、前年度の給料額を基に計算し納めるので、保険料率に変更が無い場合には、平成31年4月1日から1年間の概算保険料は、8万円となります。
しかし、前年度の概算保険料を2万円多く支払っているので、この分を処理する必要があります。
翌年の概算保険料を8万円納めて、多く支払っている2万円を還付する制度ならわかりやすいのですが、それでは国の事務作業が膨大となってしまうので、この多く支払っている分を、翌年の概算保険料と相殺をします。
つまり、本来、概算保険料として8万円支払うところを、過払い分の2万円を差し引き、6万円だけ納めることとなります。
このように労働保険の年度更新の概要は、見込みで収めた概算保険料を翌年に過不足の計算をして、さらに次の年度の概算保険料を納める作業となり、毎年、これの繰返しとなります。
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社会保険労務士 松本 容昌
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