パートタイマー、アルバイト等について

現在の日本経済において、「パートタイマー」や「アルバイト」といったいわゆる非正規労働者は、企業にとって欠かすことができない存在となっています。

独立・開業した方でも独立・開業後3年を迎えると、業務量の増加に伴い、パートタイマーやアルバイトを雇用する機会も増えてくるかと思います。

しかし、多くの経営者がパートタイマー、アルバイトいった非正規労働者に対して誤った認識を持たれているところがあります。

本ブログでは、今一度、パートタイマーやアルバイトについて考えてみたいと思います。
 
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パートタイマー、アルバイトも正社員と同じ労働者です


「パートタイマー」や「アルバイト」といった言葉は、広く使われていますが、「パートタイマー」や「アルバイト」といった言葉は、実は、法律用語ではありません。

労働基準法では正社員、パートタイマー等として労働者を区分していません。

また、社会保険や雇用保険においても、労働時間の長短で労働者は区分されていますが、パートタイマー、アルバイトといった言葉は使われません。

つまり、パートタイマーやアルバイトといった呼称は、企業が便宜的に正社員と身分を区別するために使用しているだけのものと言ってよいでしょう。
 
 
労働基準法では、正社員、パートタイマー、アルバイトも同じ「労働者」の位置付けとなります。

この概念は非常に重要で、「正しい労務管理」を考える上で絶対に覚えておいていただきたい点です。

従ってパートタイマー等を雇用する場合にまず念頭に置かなければならないのは、パートタイマーやアルバイトも正社員と同じ法律の適用を受け、正社員と同じ権利を持つということです。

「パートタイマーだからいつでも解雇できる」

「アルバイトだから残業代を払わなくてもよい」

といった誤った考えを持っていると大きなトラブルにつながってしまいます。
 
 
余談になりますが企業が業績不振になった場合、正社員よりパートタイマーが、解雇させられる場合が多いと思います。

企業が業績不振を理由に労働者を解雇することは、一般的に整理解雇と呼ばれています。

整理解雇が有効とされるには、人員削減の必要性や解雇回避の努力の有無などが判断のポイントとされますが、仮に整理解雇の必要性が、認められるとした場合に、問題となるのが解雇対象者の選定の妥当性です。
 
 
例えば、ある事業所を閉鎖する場合に、そこで働いている労働者が正社員とアルバイトだけとしたら、通常それぞれの仕事の内容等から考慮すれば、解雇対象者がアルバイトとなるのはある程度妥当と考えられます。

結果としてパートタイマーやアルバイトが解雇対象者として妥当であり、単にパートタイマーやアルバイトだからといった理由で簡単に解雇できるわけではないことにご注意下さい。
 
さて、パートタイマーやアルバイト(以下パートタイマー等)を雇用する場合に注意すべき事項として、正社員と同等の法律の適用を受けること以外にも、いくつかあります。

通常、パートタイマー、アルバイト等の雇用契約は、雇用期間が定められます


一般的にパートタイマー等は、正社員と比べて「1日の労働時間が短い」あるいは「1週間の出勤日数が少ない」と考えられています。

この考え自体は、間違えではありません。

しかし、1日の労働時間の長短や1週間の出勤日数自体は、事業主も労働者も合意の上で働くため特別トラブルの原因となることはないと言えます。

それよりも問題となるのは、雇用期間なのです。
 
 
通常、会社がパートタイマー等を雇用する場合に、雇用期間を設定します。

もし仮に、雇用期間に関し特別な定めをしなければ、雇用期間の定めのない労働契約を締結したものと解されます。

会社がパートタイマー等を正社員同様、長期的な視野で雇用するなら、特別問題は無いのですが、通常会社がパートタイマー等を雇用する場合は、中短期的な視野で雇用する場合が圧倒的に多いと言えます。

雇用契約の定めが無ければ、仕事量の減少に応じて雇用期間満了により労働契約を終了させることも出来なくなるなど会社にとって不利な点が、多々考えられるため、パートタイマー等を中短期的な視野で雇用する場合は、
必ず雇用期間を定める必要があります。
 
 
ところで、パートタイマー等の雇用に関して最もトラブルの原因となる可能性があり、また事業主の方の意識が薄い問題に雇用契約の更新があります。

多くの企業は、パートタイマー等の雇用に関し中短期的なものと考えている反面、システム化の普及等により労働が単純化され、パートタイマー等でも十分な生産性を上げることが可能になり、さらに人件費削減に寄与するため、結果としてパートタイマー等の雇用が長期的なものに及んでいるのが実情といえます。
 
 
パートタイマー等を雇用するにあたり、雇用期間が設けられていて、雇用が長期に及ぶということは、結果的に雇用契約が更新され続けているということになります。

労働契約に期間が定められていれば、それが何回更新されたとしても、あくまで期間の定めがある労働契約が更新されていると考えられ、何回更新しても最後の更新後の期間が満了すれば雇用契約を終了できると思われている事業主の方も多いと思われます。

しかし、現在では期間の定めがある労働契約が反復更新されている状態において、期間満了により労働契約を終了し、新たな労働契約を締結しないことが無効となる場合があります。

契約の反復更新により期間定めが無い契約とみなされます


労働契約に期間の定めがあっても、それを反復更新されることによって、労働者も労働契約が反復更新されて働き続けることができると期待するため、労働契約そのものが期間の定めのない契約とみなされてしまいます。

その結果、単に雇用期間満了で労働契約を終了させることは出来ず、解雇の場合と同じく、労働契約の更新を拒絶するには正当な理由が必要となります。

つまり、労働契約を反復更新することによって、パートタイマー等は会社内での扱いはパートタイマー等であっても雇用期間に関しては、正社員と同じ法律の適用を受けることとなってしまいます。

反復更新された労働契約が、期間の定めのない労働契約と同視できるようになったかどうかは、業務内容が臨時的なものか、通算の雇用期間、他の従業員等の更新状況等から判断して制度として更新が当然のように行われてきたか等によって判断されます。
 
 
また、平成16年より労働基準法が改正され、期間の定めがある労働契約を締結する場合、契約更新の有無、契約を更新する場合又は更新しない場合の判断基準を明示する必要があります。

このような観点からも、契約更新時に改めて労働契約を締結することをせず、いわゆる自動更新の形で労働契約が更新されているような場合は、期間の定めのない契約とみなされる可能性が極めて高いと言えます。
 
 
先に書きましたように、パートタイマー等の雇用に関しては、正社員同様長期的な雇用とあくまで中短期的な雇用の両方が考えられます。

しかもそれは、会社の経営状況等に左右されるといえます。

はじめは長期的な雇用を念頭に置いていたにもかかわらず、何らかの事情で中短期的な雇用に切替えざる得ない事態となる場合も考えられます。

従って雇用期間の長さにかかわらず、契約期間が満了し、契約を更新する場合には必ず改めて雇用契約書を交わすことが重要と言えます。

契約更新ごとに雇用契約書を交わしておけば、何らかの事情で労働契約を終了させたい場合に、契約期間満了で労働契約を終了させることが可能になります。
 
 
もちろん、契約更新ごとに雇用契約書を交わしていても、契約更新回数が多くなれば、期間の定めが無い契約とみなされてしまいますが、契約更新時に雇用契約書を交わさず自動更新で契約が続いている状態よりはるかに期間の定めがある契約とみなされる年数は長いと言えます。(契約期間満了で労働契約を終了できる年数が長くなります。)
 
また、近年、労働契約法が改正され、期間の定めがある契約が繰返し更新され通算で5年を超えた時には、労働者の希望により、雇用期間の定めが無い労働契約に変更できる等雇用期間の定めがある労働者を保護する動きが高まっているので注意が必要です。
 
 
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雇用契約の自動更新には注意が必要です


雇用契約に期間の定めがあれば、賃金等の労働条件もその期間の労働条件となります。

ですから、1つの契約期間が満了し、次期に契約を更新するならば、当然、賃金等の労働条件を変更、見直しをすることも可能となります。

しかし、契約更新ごとに雇用契約の締結を行わず、自動更新の状態が、何年も続いている状態では、パートタイマー等の労働者が現在受取っている賃金等は、既得権とみなされてしまう可能性が高くなってしまいます。

つまり、何らかの理由でパートタイマー等の賃金を下げたい場合でも、正社員の不利益変更の取り扱いと同様、合理的な理由がない限り、給与水準(例えば時給)を下げることが出来なくなってしまいます。
 
契約更新ごとに雇用契約を再締結すれば、そこで合意された労働条件は、あくまでその契約期間だけのものとなります。

従って、契約更新時に必要に応じて給与水準あるいは業務内容等を見直すことも可能となります。

さらに、更新時の雇用契約書にも服務規程等を含めることにより、改めて労働者に会社での重要な決め事を再認識させることが出来るため、トラブルの防止にもなります。
 
 
パートタイマー等は現在の雇用形態の中で重要な位置を占めるようになり、関係がない企業は無いといっても良いと言えます。(現在パートタイマー等を雇用していなくても、今後パートタイマー等の雇用が必要にあるケースは十分考えられます。)

確かに企業にとってパートタイマー等が重要な戦力となる場合も多々あります。

しかし、人件費削減のためにパートタイマー等の雇用を行っている企業もあります。

もちろん、それ自体は何の問題もありません。

しかし、企業がある意味、ドライに考えると同じでパートタイマー等も正社員とは、違い会社に対する忠誠の面で薄くなる場合も考えられます。

そのため、トラブルが非常に起こりやすいと言えます。
 
 
もちろん、契約更新ごとに雇用契約を再締結さえすれば、すべてのトラブルの防止になるわけではありません。

しかし、何もせず自動更新の形で契約が更新されて行けば、パートタイマーやアルバイトといった労働者が、事業主の方が考えているパートタイマーやアルバイトでなくなってしまいます。

その結果、その認識のずれによるトラブルが発生してしまいます。

パートタイマー等を雇用する場合には、期間の定めを設けるのか、設けないのかを決め、期間の定めを設ける場合には、必ず契約を更新する度に雇用契約を締結することが非常に重要と言えます。
 
 
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社会保険労務士 松本 容昌
 
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