難解な労務管理知識をわかりやすく解説!毎日わずか3分で1年後、専門家レベルの幅広い知識が身につく完全無料メールセミナー「労務365日」のご登録はこちら
【質問】
「先日、退職届を提出した従業員が、退職届の撤回を申出てきました。当社としては、既に補充の従業員の採用を決めていて、今更、退職するのを止めた、と言われても困るのですが、退職届の撤回に応じなけれなならないのでしょうか?」
【回答】
「退職の申出を既に会社が承認している場合には、撤回に応じる必要はありません。」
【解説】
▼就業規則の見直しをご検討の方はこちら
>> オフィスまつもと 就業規則変更・作成サービス
まず、ご質問の解説に入る前に、「退職願い」と「退職届」の違いについて簡単にご説明します。
まず、「退職願い」ですが、この場合、「退職願い」を出す段階では、あくまで会社にお伺いを立てている段階なので、会社がそれを承諾するまでは、退職の合意はされていないこととなります。
つまり、従業員本人もあくまで退職を希望する段階で、退職を決めているわけではないと考えます。
それに対して「退職届」は、退職することを届出るわけですから、従業員自身が既に退職を決めているわけですから、退職の申出をした時点で、既に退職が決定していることと考えられます。
ですから、退職の申出が、「退職届」の形式で出されていれば、従業員は、退職の申出を撤回することはできない、と解されています。
つまり、退職の申出が、「退職届」の形で出されれば、従業員は、退職の撤回を申出ることはできないのですが、「退職願い」の形で出されれば、会社をそれを承認するまでは、退職の申出の撤回が可能という理屈になります。
ただし、理屈上はそうなのですが、たとえ、形式上は、「退職届」であっても、従業員も、一方的に退職できるとは思っていないため、実際は、「退職願い」の意味合いで出される、と考える方が無難と言えます。
ですから、形式が「退職届」だからと言って、それを理由に撤回に応じないないのは、リスクが残ります。
では、どのような取扱いをすれば良いのでしょうか?
先程言いましたように、「退職願い」は、会社が退職の申出を承認するまでは、退職の申出の撤回ができるわけですから、逆に考えれば、会社が、退職の申出を承認した後は、撤回することができなくなります。
つまり、「退職届」の形であり「退職願い」の形であり、退職の申出がされた後に、会社がそれを承認させすれば、従業員は、退職の申出の撤回ができなくなります。
承認した後に、撤回の申出に応じるか否かは会社の自由となります。
つまり、退職の申出の撤回に関してトラブルを無くすには、なるべく早く会社が退職の申出を承認することです。(もちろん、退職しても差支えない従業員の場合です。)
では、ここで問題となってくるのは、「承認」です。
実は、この「承認」については、法律的な定めがないのです。
中小企業のように退職の申出を社長に伝えて、社長がそれを承諾すれば、それ以降は、退職の申出の撤回はできなくなるこは、容易にわかりますが、直属の上司でしたらどうでしょう?
その上司がある程度の経営権を持っているのであれば、会社の承認と言える場合もあるでしょうが、通常は、直属の上司が承認しただけでは、会社が承認したこととはならないでしょう。
私は、退職の申出のトラブルを防ぐには、退職届(又は退職願)に、速やかに会社印を押印することをアドバイスしています。
会社印には、当然、代表者の名前が入っているわけですから、会社の印が押してあれば、会社が承認したと客観的に証明ができます。
退職届(又は退職願)は、ただ、もらうだけでなく、このように少し工夫をすることで、無用な労働トラブルを防ぐことができます。
▼就業規則の見直しをご検討の方はこちら
>> オフィスまつもと 就業規則変更・作成サービス
社会保険労務士 松本 容昌
毎日わずか3分で1年後、専門家レベルの幅広い知識が身につく
難解な労務管理知識をわかりやすく解説してあります。
毎日わずか3分で、しかも無料で正しい労務管理知識を習得でき、あなたの会社が益々発展します。
当事務所では、労務管理に関する無料相談を行っておりますので、労務管理等に関するご質問等ありましたらお気軽にご相談下さい。
(東京)03-5962-8568
(静岡)053-474-8562
対応時間:9:00~18:00(月~金) 休日:土日祝日
なお、メールでのお問い合わせはお問い合わせフォーム(メールフォーム)をご利用ください。
(※メールでお問い合わせの場合は、必ず電話番号をご記入下さい。法律解釈の誤解が生じてしまう恐れがありますので、メールでのご回答はいたしておりませんので、ご了承下さい。また、せっかくお電話いただいても外出中の場合もありますので、その点もご了承下さい。)