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【質問】
「先日、同業者の方から、パートタイマーを正社員にしたら助成金をもらえた、と聞いたのですが、そのような助成金があるのでしょうか?当社でも、パートタイマーが、多数いて、今後、優秀なパートタイマーは正社員にしていこうと考えているのですが。」
【回答】
「はい、キャリアアップ助成金の中、正社員化コースという助成金があり、パートタイマー等を正社員へ転換すると助成金を受給することが可能です。」
【解説】
助成金は、雇用保険制度の一環として行われていて、雇用機会の増大や維持を図った企業に支給されます。
特に現在の日本社会においては、パートタイマーやアルバイトといった非正規社員の増大という問題を抱えているため、
非正規社員の正社員化への動きは、国が最も力を入れている政策の1つと言えます。
ところで、景気回復と労働人口の減少により、中小企業においては、人手不足の状態が続いています。
そのため、現在、雇用しているパートタイマーやアルバイトを正社員として登用して、戦力として活用して機会は、今後増えていくと考えられます。
ですから、このキャリアアップ助成金の正社員化コースは、中小企業にとって非常に利用価値が高い助成金と言えます。
この助成金の概要は、まず、6ヶ月間以上雇用している雇用期間の定めのある労働者(有期雇用労働者)が、正社員等への転換制度を利用し、正社員等へ転換して6ヶ月間経過後に、助成金を申請できるというものです。
ところで、この助成金に限ったことではないのですが、助成金は、国の制度ですので、様々な支給要件が定められいて、添付書類も必要となてきます。
このキャリアアップ助成金の正社員化コースについての主な支給要件をご説明しておきます。
まず、この助成金を利用するには、キャリアアップ計画書をハローワークを通じて各都道府県の労働局に提出する必要があります。(計画期間と提出日とに制約がありますのでご注意下さい。)
また、就業規則等に正社員等への転換制度を定める必要があります。そして、それを有期雇用労働者全員へ周知させます。
この助成金で注意すべき点は、パートタイマーやアルバイトから正社員へ従業員の区分が変わるため、それぞれの区分が就業規則に明記されている必要があります。
ここが、この助成金の盲点とも言える点で、この従業員の区分がはっきりとされていないと、助成金が支給されない場合もありますのでご注意下さい。
また、添付書類についてですが、転換前と転換後の賃金台帳や出勤簿又はタイムカード、雇用時の雇用契約書及び転換時の変更通知書、転換制度が記載された就業規則の写し等が必要となります。
支給額は、中小企業の場合、現在では、対象労働者1人につき57万円(生産性向上要件を満たしている場合には72万円)が支給されます。
また、この助成金は、有期雇用労働者から正社員へ転換する場合だけでなく、有期雇用労働者から無期雇用労働者、又は無期雇用労働者から正社員へ転換する場合も助成金が支給されます。(支給額は、少なくなります。)
なお、平成30年4月より転換後の給料が転換前と比較して5%以上上昇している要件が追加されています。
今回、ご説明した内容は、あくまで概要で、転換時に給与を一定額以上上昇させる等条件がありますので、詳細につきましては、必ず管轄のハローワーク等の行政官庁へお問い合わせ下さい。
助成金は、返済不要で使用目的も問われないの、企業にとっては非常に魅力的な制度と言えます。
是非、積極的に活用していただければと思います。
なお、キャリアップ助成金 正社員化コースについてはこちらのブログで詳しくご説明してあります。