Q22. 就業規則を周知する正しい方法は・・・?

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【質問】
 
「この度、当社では、就業規則を作成し、労働基準監督署に届出も済ませました。その際に、監督署の職員から、『就業規則は、社員全員に周知して下さい。』と言われました。どのような方法で、社員に周知すれば良いのでしょうか?

就業規則を全員分コピーして配布する必要があるのでしょうか?また、必ず周知しなければならないのでしょうか?」
 
【回答】
 
「はい、確かに労働基準法では、就業規則を社員全員に周知させることを定めています。ただし、必ずしも社員全員に就業規則の写しを配布する必要はなく、社員が見やすい場所に備え付ける等の方法でも差し支えないとされています。」
 
【解説】
 

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就業規則は、作成し労働基準監督署に届出ただけでは、その効力は発生せず、社員全員に周知して初めて効力を有します。
 
就業規則の周知方法は、必ずしも就業規則を社員全員に配布する必要はなく(もちろん、社員全に配布する形が最も望ましいと言えます)、休憩室や食堂等の社員が見やすい場所に備え付ける等の方法でも差し支えないとされています。

最近では、パソコンや携帯電話等を通じて、いつでも見られる状態にしておけば、それでも周知したとみなされます。
 
ですから、何らかの方法で社員全員が、いつでも就業規則を見ることができる状態にすることが必要です。
 
 
ところで、就業規則の周知ですが、実は、これは非常に重要なポイントなのです。
 

冒頭でも書きましたが、就業規則は、社員全員に周知して初めて効力を有します。
 
逆の言い方をすれば、どんなに時間をかけて作成した就業規則であっても、周知されていなければ、それは無いものと同じこととなってしまいます。
 
実際、経営者の中には、就業規則を机の中にしまいこんでしまっている方もいるようです。

就業規則を周知しない経営者は、有給休暇や割増賃金といった、労働者の権利についてあまり知られたくない、という気持ちがあるのだと推測します。
 
 
確かに、就業規則は、有給休暇や割増賃金といった、労働者の権利についての記載もありますが、それ以外にも社員に守ってもらうべき会社のルール等も記載されています。

むしろ、就業規則を作成する目的は、むしろ後者の方が大きいと言えます。
 
 
何か問題を起こした社員を、就業規則に則り、何らかの懲戒処分を課そうとしても、その就業規則が周知されていなかったら、就業規則の効力が無いわけですから、結果的に、懲戒処分を行う根拠が無い、ということとなり、仮に、社員が、懲戒処分に対して訴えを起こした場合に、会社は、非常に不利な立場となってしまいます。
 


ところで、有給休暇や割増賃金といった事項についてあまり周知したくない、という経営者の考えは、個人的にはわからないではないですが、有給休暇や割増賃金は、そもそも労働者に与えられた権利であるわけですから、就業規則の周知に関係なく、労働者には、当然の権利として与えられているわけです。
 
 
確かに、少し前の時代なら、労働者も法律に馴染みが無い、ということも考えられましたが、現在のような情報化社会では、労務管理に関する情報は容易に入手することができ、以前とは比べものにならない位、権利意識が高まっているのが現状です。
 
ですから、就業規則を周知しないからといって、労働者が、有給休暇や割増賃金に関して意識を持たないということは、まず考えられないと言えます。
 
 
つまり、就業規則を周知しないことは、現在のような情報化社会においては、経営者にとって何のメリットも無いと言えます。

その反面、先程も書きましたように、就業規則は、周知しないと、その効力を有しないので、何か問題が起きた場合でも、何の役にも立たなくなってしまいます。

就業規則は、法律通りに周知しないと、結局、経営者にとって、デメリットだけが残ってしまう、ということとなってしまいます。
 
 
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社会保険労務士 松本 容昌
 


 

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