【質問】
 
「当社は、時間外労働時間が多く、売上を人件費が圧迫しています。そんな中、ある雑誌に、フレックスタイム制で残業時間を削減可能、という記事が載っていました。フレックスタイム制を導入すれば、時間外労働を減らすことができるのでしょうか?」
 

【回答】
 
「はい、確かにフレックスタイム制は、時間外労働時間を削減するための有益な手段の1つであります。しかし、フレックスタイム制を導入すれば、無条件で時間外労働時間が減少するわけではありません。」
 

先日も新聞に、国家公務員に対して、フレックスタイム制の対象を拡大する、との記事が載っていましたが、民間企業でもフレックスタイム制を導入している企業は、大企業を中心に数多くあります。

元々、始業及び終業の時間を労働者自身が決定し、労働者自身の生活と仕事の調和を図りながら、効率的に働くことを可能とする事を目的とした制度です。
 
 
まず最初に、フレックスタイム制の概略を説明したいと思います。

通常の場合は、1日の所定労働時間が決められているため、労働者は、決められた始業時刻に出社し、終業時刻まで働く必要があります。

それに対して、フレックスタイム制では、1日の所定労働時間は決まっておらず、1ヶ月間で労働時間を管理することとなります。

例えば、ある月の勤務日数が20日として、その月に働くべき労働時間を160時間とします。

フレックスタイム制の場合、日々に何時間働くかは、労働者自身が決めることができ、例えば、ある日は、3時間しか働かなくても、他の日に13時間働くなどして、トータルで160時間を働けば良い、ということとなります。

また、1日8時間働くとしても、出社時間と退社時間を日々従業員が変えることも可能となります。
 
 
では、フレックスタイム制と時間外労働削減についてお話したいと思います。

1日の所定労働時間が8時間として、ある日、業務繁忙で4時間の時間外労働、つまり1日で12時間労働したとします。

ところで、業種によっては、業務の繁閑が、別の日には、4時間早く退社しても、業務に支障が無いような場合もあります。

しかし、通常の労働契約の場合には、1日の所定労働時間が決められているので、たとえ、早く帰って業務に支障が無い場合でも、労働者は、決められた終業時刻まで業務に従事している必要があります。

となると、結果的に4時間の時間外労働が発生します。

しかし、フレックスタイム制の場合は、1日の労働時間を労働者自身が決めることができるため、「昨日、12時間働いたのだから、今日は、4時間で帰ろう」と労働者自身の意思で決めることができます。

このような場合には、2日を平均すれば、8時間となりますので、時間外労働は、発生しないこととなります。

ですから、フレックスタイム制は、業務の繁閑の応じて、日々の労働時間を調整することができるので、無駄な時間外労働を抑制でき、業務の効率化も期待できると言えます。
 
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フレックスタイム制の導入だけでは残業時削減には繋がらない
 

しかし、ここで注意しなければならないのは、フレックスタイム制において、日々の労働時間を決めるのは、労働者自身ですので、労働者自身に業務効率化の意思がなければ、フレックスタイム制を導入しても、結果的には、時間外労働は削減しないこととなります。

それどころか、日々の労働時間の決定を業務効率化ではなく、労働者自身の都合で決定してしまうと、かえって社内の調和が乱れてしまう事態も起こってしまうこともありえます。

ですから、フレックスタイム制は、時間外労働を削減するための1つの有益な手段ですが、実際に時間外労働を削減するには、労働者にその意思を持たせる必要があります。

その役目は、経営者となってきます。
 
 
つまり、フレックスタイム制だけを導入すれば時間外労働が無くなることはなく、経営者自身が、根本的に業務効率化に取組む必要があるのです。

時間外労働の削減は、フレックスタイム制に限らず、ノー残業ディ等もそうですが、手段だけで解決できることはなく、経営者が、その根本の問題に解決する必要があります。
 

 
社会保険労務士 松本 容昌
 
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